身近にある植物で農薬を作る②植物素材を使った農薬の作り方(抽出方法)

身近にある植物で農薬を作る②植物素材を使った農薬の作り方(抽出方法)

身近に手に入る植物を使って手作り農薬を作る際、植物に含まれる成分によって適した抽出方法は異なります。本記事では、植物に含まれる成分の抽出方法、手作り農薬使用方法、保管方法についてご紹介していきます。

 

 

抽出方法

身近にある植物で農薬を作る②植物素材を使った農薬の作り方|画像1

 

成分の抽出方法には主に「煮出す方法」と「アルコール・酢に浸ける方法」があります。農薬として役立つ植物の成分は大まかにアルカロイド、フェノール類、テルペン類に分けられます。アルカロイドは水に溶けにくいものが多いので、アルコールまたは酢で抽出する方法が向いています。フェノール類は水に溶けやすいものが多いため煮出す方法が、テルペン類は大部分が疎水性(水に溶けない)のため、アルコールでの抽出が向いています。

煮出す方法

用意するものは、素材として利用する植物と水、鍋、濾すための布(またはストッキングなど)、保存容器。鍋は土鍋やアルミ、ステンレス製のものを用意してください。鉄製の鍋は植物の成分にタンニンが含まれる場合、タンニンが鉄と結びついてしまい、タンニンの効果が落ちてしまうのでおすすめしません。煮出した後、抽出液が冷めてから保存容器に注ぎますが、保存容器には熱いものを入れられ、中身も見えるガラスビンがおすすめです。

  1. 植物を3〜4cm幅に切っておく
  2. 1.を鍋の半分くらいまで入れ、水をヒタヒタになるまで入れる
  3. 2.をとろ火(弱火よりもさらに弱い火加減)で30〜40分煮る(植物の芳香成分の効果が必要な場合には、長時間火にかけると芳香成分が
  4. 揮発してしまうため、加熱時間は4〜5分)
  5. 鍋が冷めたら、布で濾しながら抽出液を保存容器に移し、日陰で保存する

濾す過程を省略したい場合は、切った植物をストッキングなどに入れてから鍋に入れ、火にかけます。

アルコールに浸ける方法

用意するものは植物、焼酎(ホワイトリカーなど)などのアルコール類、保存容器です。抽出方法は簡単で、保存容器に素材とアルコールを入れて浸けこむだけ。アルコールに有効成分が溶け出すので、約1〜2ヶ月間浸けます。

酢に浸ける方法

用意するものは植物、酢、保存容器のみ。酢は穀物酢、玄米酢、果実酢、クエン酸液、木酢液が利用できます。酢による抽出方法はアルコールの場合とほぼ同じです。ただし、保存容器の素材に注意してください。鉄製容器を使うと、酸の作用で欲しい成分に鉄が溶け出してしまうので、鉄製のものは使用しないでください。煮出す方法同様、ガラスビンがおすすめです。

 

 

保管方法

身近にある植物で農薬を作る②植物素材を使った農薬の作り方|画像2

 

煮出して得た抽出液はおよそ2ヶ月保存できます。とはいえ、アルコールや酢で抽出したものに比べ、長期保存がきかないので、作ったら早めに使い切りましょう。煮出したものもアルコールや酢で抽出したものも、直射日光の当たらない日陰で保存してください。

 

 

使い方

身近にある植物で農薬を作る②植物素材を使った農薬の作り方|画像3

 

いずれも原液では使いません。希釈して使います。

身近にある植物で農薬を作る①植物が持つ殺虫・殺菌、抗虫・抗菌作用について』では、さまざまな植物素材を紹介していますが、日常づかいに向いている毒性のないものであれば500倍前後に希釈して散布を行います。毒性のある、殺虫・殺菌作用が強いものは、1000倍ぐらいに希釈して使いましょう。

アルコールで抽出した液を散布する場合は、800倍ぐらいに希釈して使用します。アルコールには脱水作用があるため、高い濃度で散布すると葉が枯れてしまいます。はじめは800倍ぐらいに希釈し、農作物の様子を見ながら少しずつ濃くしていきましょう。

 

参考文献

  1. 農文協編『自然農薬のつくり方と使い方―植物エキス・木酢エキス・発酵エキス』(2009年、農山漁村文化協会)
  2. クチクラを除去する方法|みんなのひろば|日本植物生理学会
  3. 光合成の実験で、葉を熱湯につけるのは|みんなのひろば|日本植物生理学会
  4. 科学実験!先生ブログ – 栄光サイエンスラボ

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