オリーブの栽培管理は前編にて。
オリーブの品種
オリーブの品種は大きく3つに分類されます。
- 果実加工用
- オリーブオイル用
- 兼用種(上記どちらにも使用できる)
果実加工用は塩漬け(渋抜きして塩水に漬け込んだもの)等に加工されます。オリーブの品種は約500種ほどあると言われていますが、日本で栽培可能な品種は多くありません。
日本で入手しやすい、栽培可能な品種
マンザニロ
果実加工にもオイルにも利用される品種。世界中で栽培されており、大きな果実と実つきの良さ、収量の高さが特徴です。栽培しやすい品種ではありますが、オリーブの主な病害である炭そ病に弱い、柔らかな果皮と果肉が風害を受けやすい、自家不和合性(自分の花粉ではなく、他個体の花粉でだけ受粉する受精システム)が強いといった欠点もあります。
ミッション
マンザニロ同様、果実加工にもオイルにも利用されます。欠点は炭そ病に弱いこと。樹形の良さから、観賞用としても需要が高い品種です。
ネバディロ・ブランコ
オイルに利用される品種。生育の早さから、観賞用品種としても人気があります。自家不和合性が強い品種ではありますが、花粉が多く、他の品種の受粉樹としてよく利用されています。
ルッカ
オイル用の品種。自家不和合性が弱く、ルッカの樹1本でもある程度実がなります。他の品種の受粉樹としても利用でき、炭そ病に強いのが特徴です。
香川県独自ブランドの新品種
香川県産業技術センター発酵食品研究所と小豆オリーブ研究所は新品種「香オリ3号」と「香オリ5号」を開発しました。
香オリ3号は果実加工にもオイルにも利用できる兼用種で、香オリ5号はオイル用の品種。いずれも炭そ病に強く、また香オリ5号はポリフェノール含有量がミッションやルッカに比べてかなり多いため、辛みや苦みが強いのが特徴的です。
品種登録が受理され、香川県独自のブランド品種となっており、第三者が許可なく種苗を生産・譲渡することはできません。
実をつけるために違った品種を植えよう
先でも紹介しましたが、オリーブは自家不和合性が強い植物のため、受粉のため、違った品種を植えましょう。ルッカなど自家不和合性が弱い品種もありますが、1本で実をつけるといっても大量に収穫できるわけではありません。実を収穫したいのであれば、違った品種を植える必要があります。
オリーブは花粉が風に運ばれることによって受粉します。花粉は大量に出ますが、植えた違う品種の木が常に健康であるとも限らないため、2品種2本以上、またネバディロ・ブランコのような花粉の多い品種など、花つきが良いものを選ぶのがおすすめです。
参考文献
- 『農業ビジネス ベジ 2019 vol.25 春号』,2019年5月30日,イカロス出版
- オリーブ栽培管理の手引き
- 香川県|農業試験場小豆オリーブ研究所 – オリーブの品種・生態
- オリーブ図鑑|道の駅 小豆島オリーブ公園 公式サイト
- オリーブ新品種開発 香川県、ブランド化進める :日本経済新聞
- オリーブの実を収穫したい人のための苗木の選び方&品種の見分け方|山田オリーブ園
- 自家不和合性とは? – 中高校生が第一線の研究者を訪問