葉の色で作物の健康状態を知る!必要な要素が足りないとき、葉に何が起こるか

葉の色で作物の健康状態を知る!必要な要素が足りないとき、葉に何が起こるか

作物を観察しているとき、葉に元気がなかったり、葉の色が薄くなったりしていることに気づくことがあります。葉の色に限りませんが、作物の変化は作物の健康状態を教えてくれます。そこで本記事では、葉の色で考えられる作物の健康状態についてまとめてみました。

 

 

葉が黄色くなる

葉の色で作物の健康状態を知る!必要な要素が足りないとき、葉に何が起こるか|画像1

 

葉が黄色くなるときには、いずれかの要素が欠乏あるいは過剰となっている場合があります。

窒素が欠乏している

根の発育や茎葉の伸長をよくする役割を担う窒素が不足していると、葉が黄化します。窒素が不足している場合、他の症状には、生育が悪くなる、子実の成熟が早くなり収量が少なくなることが挙げられます。

カリウムが欠乏している

葉の黄化が見られますが、その症状は窒素が不足しているときとは異なります。

カリウムが欠乏しているときには、古い葉の先端から黄化し、それが葉縁へと広がります。そして、その部分は褐色になり枯死します。

他の症状には、新しい葉が暗緑色になって伸びが悪くなる、根の伸びが悪くなって根腐れが起きやすくなる、果実の肥大が衰える、果実の味や外観が悪くなることなどが挙げられます。古い葉の先端が黄化したり、他の症状が確認された場合には、カリウム欠乏が疑われます。

マグネシウムが欠乏している

古い葉の葉縁部から葉脈間が黄化した場合には、マグネシウムの欠乏が疑われます。

亜鉛が欠乏している

新葉から中葉へと黄化が進んだ場合、また葉脈間が黄色になり、しま状が明瞭になった場合には、亜鉛の欠乏が疑われます。

ホウ素が過剰

ホウ素は細胞分裂や花粉の受精を助けたり、アンモニア・カリウム・カルシウムの吸収を助けるなどの働きがあります。ホウ素が過剰な場合、葉縁が黄化し、その後褐変する症状が見られます。

その他

新しい葉から黄白化した場合には、鉄の欠乏が疑われます。

新しい葉の先端から黄白化し、しおれた場合には銅の欠乏が疑われます。

 

 

葉が暗緑色になる

葉の色で作物の健康状態を知る!必要な要素が足りないとき、葉に何が起こるか|画像2

 

+葉ができすぎる場合は、窒素が過剰

症状として葉が暗緑色になり、できすぎることが挙げられます。茎や葉が軟弱になり、病虫害にかかりやすくなったら、窒素の過剰を疑いましょう。

+伸びが悪くなった場合には、カリウムが欠乏

新しい葉が暗緑色になって伸びが悪くなった場合には、カリウムの不足も疑われます。

カリウムが不足している場合、「新しい葉」は暗緑色になりますが、「古い葉」は先端から黄化します。黄化は葉縁へと広がり、最終的にはその部分が褐色になって枯死します。

 

 

葉が薄緑色になる

新しい葉が薄緑色になった場合にはマンガン欠乏が疑われます。マンガンは体内の酸化還元を円滑にしたり、葉緑素の生成を助けたりするなどの働きがあります。そのため、新しい葉の色が薄くなったり、葉が小さくなった場合にはマンガン欠乏が疑われます。

葉が白くなる

生長の盛んな若い葉の先端が白くなったときにはカルシウム欠乏が疑われます。カルシウムの不足が続けば、若い葉の先端が白くなった後、やがて褐色になり枯死します。

茎や葉柄が紫色になる

根の伸長をよくするリン酸が欠乏していることが考えられます。他の症状には開花結実が悪くなることや果実類の場合は甘味が少なくなることが挙げられます。

作物の健康状態を維持するためにも、観察は重要です。健康状態のバロメーターは葉の色の変化に限りませんが、葉の色は要素の不足や過剰を教えてくれます。

参考文献には、要素の欠乏、過剰によってどんな症状が表れるのか詳細が記されていたり、実際の作物の写真が掲載されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

参考文献

  1. 2 園芸作物の栄養診断と土壌診断指針
  2. 薄緑の葉色は「鉄欠乏」のサイン? 予防と対策は?
  3. 植物の生理障害

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