日本政策金融公庫が、全国の20歳代〜70歳代の男女各1000人に実施した「平成31年1月消費者動向調査」によると、食の志向に関するアンケートで「健康志向」と「経済性志向」が上昇傾向にあります。中でも「健康志向」は過去最高(46.6%、前回過去最高であった平成26年1月の結果46.5%を上回る)となりました(参考文献1 図1)。
「健康」や「からだにいい」は消費者の心を捉えるキーワードとなっています。
そんな中、本記事でご紹介するのは、かつて「苦い」「まずい」と言われていた青汁の原料「ケール 」です。
ケールとは
キャベツやブロッコリーの原種であるケール。ケールにはビタミンAとビタミンCが豊富に含まれており、その量は1カップ分で1日の推奨摂取量の133%と言われています。また食物繊維はケール3.6g含まれています※(食物繊維が高いことで知られるごぼう100gには5.7g含まれています)。そのほか、カルシウムや葉酸なども豊富に含まれています。
豊富な栄養素がありながら、糖質とカロリーが少ないケールは、2015年ごろにアメリカで「スーパーフード」としてブレイクしました 。日本でも、アメリカのブームを汲む形で、苦みが少なく食べやすいケールが登場し始め、若い世代や健康に関心の高い人々の注目を集めました。
“ブーム”は一過性のものですから、2015年に比べれば、ケールの注目度は落ち着いてしまったかもしれません。しかし、外食やコンビニのサラダ、スーパーで販売されているサラダキットがケール入りだったり、生鮮野菜として販売されているのを見かける機会は増えてきているのではないでしょうか。
消費者の食に対する「健康志向」が続伸している今もまだ、注目の野菜と言えるでしょう。
※米国農務省のデータベース参照
ケールの栽培方法
冒頭でも紹介しましたが、ケールはキャベツやブロッコリーの原種で、アブラナ科です。生育旺盛で、暑さや寒さに強く、比較的育てやすいのが特徴です。
土づくり
暑さや寒さに強いケールですが、乾燥に強い分、過湿には弱いため、排水性の良い畑に整えておきましょう。植えつけの2週間ほど前に、苦土石灰を1㎡当たり100g、堆肥2〜3kg、肥料70〜80gを施し、よく耕します。
畝は幅90cm×高さ15cm、畝間は60〜70cmほどで用意しておきます(畑の水はけ具合や畑の規模など、条件によって臨機応変に調整してください)。
種まきから植えつけまで
ポットや育苗箱などを使い、苗を育てます。タネは、ポットで育てるのであれば1cmほどの深さの穴をつくり、3〜5粒まきます。育苗箱であれば、10cm間隔の溝をつくりスジまきします。
発芽したら、本葉が3枚になる頃までに生育の良い株を残して間引きを行い、本葉が5〜6枚になったら、株間30〜40cmで畑に植えつけます。
収穫
草丈が30cmくらいになったら、収穫していきます。
ケールの収穫は、外葉をかきとって行います。一度にたくさん収穫すると株が弱るため、1回の収穫につき1〜2枚が目安です。また株が疲れてしまうのを防ぐためには、定期的な追肥がポイントです。
ケール栽培の注意点
多湿な環境だと、根が痛むだけでなくべと病などが発生しやすくなるため、畑の排水性には十分注意してください。他のアブラナ科植物同様、チョウやアブラムシの虫害が発生しやすいので、こちらも注意が必要です。
キャベツのように結球したものを収穫するのではなく、外葉をかきとることで収穫するため、長い期間収穫が可能です。良質な葉を収穫し続けるために、株の様子を見ながら追肥と水やりを行ってください。
栽培しやすいケールでこんなことも!
『現代農業2020年02月号』では、2つの品種で8〜9月を除いた期間収穫し続ける事例が紹介されていました。暑さや寒さに強いとはいえ、やはり低温下や霜に当たることで葉が硬くなる品種もあります。ここで紹介されていたのは、比較的つくりやすい品種と低温期でも葉が柔らかい品種をそれぞれの最適環境になるように露地とハウスで交互に管理する方法。こうすることで、夏場以外の収穫を可能にしていました。
参考文献