肥料価格の高騰続く。その原因と、肥料価格高騰に対応するアイデアを紹介。

肥料価格の高騰続く。その原因と、肥料価格高騰に対応するアイデアを紹介。

2021年7月25日の日本農業新聞で以下の記事が掲載されました。

中国リン酸肥料が高騰 環境保護策で生産量減 世界シェア4割、日本に影響も|日本農業新聞

中国でリン酸肥料の価格上昇が止まらない。環境保護策などでリン鉱石の生産量が減少した上、リン酸肥料工場の稼働率が低く、生産量が追い付かないためだ。高騰する穀物の国際相場も響く。秋季の需要増を踏まえ今後は、一段と上がる見通しだ。

引用元:中国リン酸肥料が高騰 環境保護策で生産量減 世界シェア4割、日本に影響も|日本農業新聞

肥料価格の高騰はリン酸肥料に限った話ではありません。今から十数年前、2008年の記事でも肥料高騰について取り上げられています。

参考記事:農文協の主張:2008年10月 肥料高騰−肥料代を減らす「循環」が未来をひらく

そこで本記事では、肥料価格が高騰している原因とそれに対応する施肥技術について紹介していきます。

 

 

肥料価格高騰の原因

肥料価格の高騰続く。その原因と、肥料価格高騰に対応するアイデアを紹介。|画像1

 

冒頭で紹介した中国のリン酸肥料の価格上昇の背景には、

  • 環境保護政策による生産量の大幅な減少
  • 人口増加に伴う食料需要の増加→穀物の需要の高まり→世界のリン酸肥料の需要量の高まり

が挙げられています。

もちろん価格が上昇したのはリン酸肥料に限りません。肥料の原料となる尿素やリン酸アンモニウム、塩化カリウムも値上がりしています。

価格上昇の背景にある“穀物の需要の高まり”は穀物の価格を上げました。そうなると、穀物を生産するために農家がやや高い肥料を使っても利益が出ます。このことが肥料価格の上昇につながっています。また異常気象なども穀物価格高騰の原因として挙げられます。

他にも、

  • 開発途上国での穀物需要の高まり
  • 肥料の工業的生産に必要な電力源となる天然ガスや輸送費などに関わってくる原油の高騰

などが挙げられます。

日本の農家が使っている肥料の原料のほとんどは輸入に依存しています。その原料が値上がりしているため、JA全農は2021年度の秋肥価格を値上げすることを発表しています。

 

 

肥料代を減らすアイデアとは

肥料価格の高騰続く。その原因と、肥料価格高騰に対応するアイデアを紹介。|画像2

 

農林水産省が2021年5月末に立ち上げた肥料関係情報「農業者の皆様へ」(農林水産省)では、肥料代を節約する方法を提案しています。

肥料代を節約する方法の主たるものには

  • 土壌診断を受ける
  • 堆肥など有機物を活用する
  • 局所施肥を行う

が挙げられます。

まず土壌診断について。土壌診断を定期的に受けることで土壌の状態が確認でき、過剰もしくは不足している成分を把握できれば、余分な施肥を行わずに済みます。

有機物の活用は土作りだけでなく肥料効果も見込めます。また鶏糞や生ゴミなど、身近にある資源を活用できるのであれば、肥料を安価に手に入れることができるといった意味での節約効果もあります。ただし有機物を施用する際、分解が進んでいない未熟なものを使うと農作物にかえって悪影響を及ぼしてしまうため、分解が進んだものを利用しましょう。

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局所施肥もおすすめです。「畝だけ」や「マルチ内だけ」、「作物を植え付ける溝だけ」など、作物を植え付ける場所だけに肥料を施すことで施肥量を減らすことができます。

また化学的に合成された肥料や農薬を使用しない「有機栽培」や、肥料も農薬も使わず、土も耕さない「自然農法」などから、肥料を減らす、または使わない方法を学ぶのもいいかもしれません。

 

参考文献

  1. 中国リン酸肥料が高騰 環境保護策で生産量減 世界シェア4割、日本に影響も|日本農業新聞
  2. 農文協の主張:2008年10月 肥料高騰−肥料代を減らす「循環」が未来をひらく
  3. 化学肥料の値上がり当面続くか、国際的な需要高で 農家がとれる対策は?|マイナビ農業
  4. 肥料原料 高騰 – 農林水産省
  5. 肥料価格高騰に対応した施肥技術

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