【忌地対策】連作障害の要因&輪作や輪作以外の対策法を知って、忌地になるのを防ごう!

【忌地対策】連作障害の要因&輪作や輪作以外の対策法を知って、忌地になるのを防ごう!

忌地(いやち)とは

連作障害ともいう。同一作物の連作によって生育がはなはだしく不良,あるいは生育不能となる現象。

出典元:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

です。「連作障害」と呼ばれることの方が多いかもしれませんが、いずれにせよ、植物の生育を妨げる原因となりますから、避けるべき事象といえます。

そこで本記事では、忌地/連作障害が起こる原因と、忌地/連作障害を起こさないための3つの対策法をご紹介していきます。

 

 

連作障害が起こる原因、3つの観点

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連作障害が起こる原因にはさまざまなものがありますが、良い土壌の条件同様、

物理的
化学的
生物学的

の3つの観点が大きく関わってきます。

物理的な原因

土壌環境の悪化による生理障害は連作障害の原因の一つです。この「土壌環境の悪化」には下記で紹介する化学的な原因だけでなく、「土壌の通気性や排水性が低下する」といった物理的な原因も含まれています。土壌の物理性の悪化は、病害虫の発生や生理障害の原因につながります。

化学的な原因

同じ作物を同じ土地で生産すると、土壌の栄養素に偏りが生じます。例えば、特定の栄養素を多く要する作物を同じ土地で生産し続けると、特定の栄養素だけが吸収され、その栄養素は土壌中から不足し、その作物に消費されない養分は蓄積されていきます。

不足しがちな栄養素を施肥すれば、作物の生産に影響しないと思いきや、植物が必要とする栄養素は決して特定のものだけではありません。植物が糖質やタンパク質を合成するためには、それに必要な栄養分をバランスよく吸収する必要があります。土壌中の栄養バランスが偏ることで生育に必要な成分をうまく合成できなくなると、病害虫に対抗するための物質が不足することなどから、病害虫耐性が落ち、病気や害虫による被害に遭いやすくなります。

また「アレロパシー」が連作障害の原因となることも。アレロパシーは、ある植物が他の植物の生長を抑えたり、動物や微生物を防ぐ、または引き寄せるなどして、自身の生存にとって有利になるようにする効果の総称です。

しかし、この際に分泌される発芽阻害物質や生育阻害物質は、他の植物だけでなく自身の生育にも影響を及ぼします。同じ場所で育て続けることで阻害物質が蓄積すると自家中毒が起こります。

生物学的な原因

連作により偏るのは土壌中の栄養バランスだけではありません。土壌微生物にも偏りが生じます。土壌の物理性、化学性が変化し、土壌環境が悪化すると、作物にとって有害な微生物が有利な環境になることも。

ちなみに、同じ作物が同じ場所で繰り返し作られるのにもかかわらず、稲作では連作障害がほとんど起こらないと言われています。その理由には、水田ならではの灌水や落水が関係しています。

植物病原菌の多くは糸状菌(カビ)ですが、これらの微生物はヒト同様、酸素を必要とします。酸素を必要とする菌を好気性菌と呼びますが、水を張った田んぼは嫌気的状態、すなわち酸素のない、酸欠状態になり、好気性菌は死滅します。

田んぼは秋から冬にかけて水がなく、春から夏には水が入ります。この特徴的な土壌環境が有害な微生物の増殖を防ぎ、連作障害がほとんど起きない理由となっています。

 

 

連作障害、輪作以外の対策

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連作障害の対策として主となるのは「連作しないこと(輪作)」です。同じ作物を同じ場所で栽培しないことで、土壌中の栄養、微生物の偏りを防ぎます。

そして輪作以外の対策には以下のものが挙げられます。

抵抗性品種を選ぶ&接ぎ木で回避
病害虫に強い抵抗性品種を選ぶ

連作や病害虫に強い品種を苗の土台(台木)として選び、その上に育てたい作物を接ぎ木することで、丈夫な苗を育てることができます。

ただし、接ぎ木する作物同士で合う・合わないがあるため、事前に組み合わせを確認する必要があります。うまく活着(接ぎ木した植物が、根づいて生長し続けること)すれば「親和性がある」ことになりますが、活着しない「不親和性」の組み合わせもあります。台木と穂木(台木に接着する側)は近縁であるほど親和性が高いため、同じ種または近縁種の台木と穂木を用いるのが一般的です。

根本的な対策には土壌改良

土壌診断を行い、先で紹介した物理的、化学的、生物学的観点から、土壌が農作物の栽培に適した状態かどうかを確かめ、それに応じて土壌改良を行うことをおすすめします。

土壌消毒を行うのも一つの手ですが、土壌消毒により農作物の生育に有用な微生物も死滅してしまうので、土壌消毒後は有機物の投入や緑肥を施すなどして、有用微生物が病害虫や有害な微生物よりも優位な環境に整える必要があります。

 

参考文献

  1. 月刊 現代農業2019年10月号 土肥肥料特集 連作障害ってホントはなに?
  2. 連作障害はなぜ起こる?発生原因と作物への影響、対策方法|コラム|セイコーエコロジア
  3. 土壌微生物の世界|深掘!土づくり考|土づくりのススメ|営農PLUS|ヤンマー
  4. 植物のアレロパシーについて|みんなのひろば|日本植物性理学会
  5. 染谷孝『人に話したくなる土壌微生物の世界 食と健康から洞窟、温泉、宇宙まで』(築地書館、2020年)
  6. 共台、共接ぎと異種接ぎ木|なるほど園芸用語|カルチべ – 農耕と園藝ONLINE
  7. 連作障害 対策と原因|国際有機公社

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