世界中で食べられている野菜「ジャガイモ」。日本でもカレーや肉じゃがなどの定番料理に欠かせない存在です。ホクホクとした食感や優しい甘みが美味しいジャガイモですが、その種類は豊富。近年では、品種ごとの特徴に合わせて向いている料理などが紹介されることもあります。
本記事では、日本国内で生産可能なジャガイモについてまとめてみました。
日本で生産できるジャガイモまとめ
世界中に約2,000もの品種があると言われるジャガイモ。日本で栽培されているのは約20品種程度とごくわずかですが、それでもバラエティ豊かな品種を栽培することができます。
ジャガイモの栽培について
ジャガイモは比較的簡単に育てることのできる野菜です。生育適温は15~24℃で、日当たりが良く、通気性・排水性が良い土壌でよく育ちます。温暖な気候を好むジャガイモは、春と秋に植え付けることができます。関東であれば
- 春:3〜4月中旬くらいまで
- 秋:8月下旬〜9月
の時期が植え付けに適しています。ただし、秋に植え付ける場合には残暑と冬の寒さに注意しなければなりません。暑いと種イモが腐りやすく、冷え込みが早いとジャガイモが大きく育ちにくくなります。安定した収穫を得たいのであれば、春の植え付けがベストでしょう。
男爵
「男爵」は数多くのジャガイモの中でもよく知られています。粉質が強いため、そのホクホクとした食感を活かした料理に用いるのが向いています。早生種であり、日本において最も作りやすい品種でもあります。貯蔵性にも優れているのですが、「目」(新芽が出る“くぼみ”のこと)が深いため、大きいイモの場合には中心空洞ができやすいという難点もあります。
メークィーン
男爵と並んでよく知られている品種。長い楕円のような形をしており、すべすべとした表皮が特徴です。皮がむきやすい品種であり、粘質でデンプンが少ない特徴から煮崩れがしにくく、煮込み料理に適しています。低温貯蔵することで甘みが増す特徴もありますが、
- 休眠が短い
- 緑化しやすい
- 芽疫病に弱い
といった難点もあります。
キタアカリ
男爵によく似た品種ですが、男爵よりもホクホクとした食味や香りが強く、またビタミンC含有率が高いのが特徴です。耐湿性がある品種であり、水田から畑になったような湿地であっても腐敗が少ないのが特徴です。
とうや
- 早生
- 大粒
- 多収穫
3つの特徴から注目を集める、比較的新しい品種です。あまり食感はホクホクしないのですが、煮崩れしにくいため煮込み料理に最適です。他の品種に比べると、でんぷん質がやや少ないため、低カロリーな品種です。
ベニアカリ
赤皮が特徴の品種。中生種ですが、収量は男爵より多く、栽培しやすいのが特徴です。栽培する際は湿地を避けるようにしましょう。煮崩れしやすいですが、コロッケやすりおろしてお好み焼きに使うと美味しく食べられます。
インカの目覚め
独特の風味が特徴の「インカの目覚め」。小粒な品種ではありますが、その糖度は6〜8度と比較的高く、その味はナッツや栗に似ていると評されることもあります。「極早生」という特徴はあるものの、収穫量が少ないのが難点です。
シンシア
フランスで育成されたきれいな卵形をした品種です。キリンビール株式会社が日本に紹介した品種として知られています。「中早生」で、芽が出にくく、貯蔵性に優れているという特徴があります。低温貯蔵により甘みが増します。
北海こがね
メークィーンのような長い形をした品種です。メークィーンも煮崩れしにくい特徴がありますが、メークィーンよりもさらに煮崩れしにくいため、煮込み料理などに最適です。また油で揚げても変色が少ないので、フライドポテトやポテトチップスにも使われる、便利な品種です。収穫量や耐病性など、あらゆる面でメークィーンを上回る「北海こがね」ですが、
- 肥大が遅い
- 早期収穫ができない
という点だけが難点です。
まとめ
「日本いも類研究会」の資料を見ると、平成6年以前に育成された農林登録品種や最近登録された品種を合わせて30種類以上ものジャガイモの品種が紹介されています。品種改良によって新しく生み出された品種もありますが、どのジャガイモにも栽培方法や品質にそれぞれ特徴があります。栽培しやすい野菜のひとつですから、興味のある品種や消費者のニーズに合わせた品種を選んでみてはいかがでしょうか。
参考文献