連作障害になりやすい野菜まとめ。連作障害になる仕組みについて。

連作障害になりやすい野菜まとめ。連作障害になる仕組みについて。

連作障害とは一つの作物を同じ圃場に繰り返し作付けする「連作」によって起こる、作物の生育不良を指します。連作により特定の病害虫の加害が甚だしくなったり、土壌環境が悪化したりすることなど、連作障害が起こる原因はさまざまです。

また作物によっては「連作障害になりやすい」ものもあります。

そこで本記事では、連作障害になりやすい野菜をまとめてみました。連作障害になる仕組みや連作障害になりやすい野菜を連作障害から守るための対策法について紹介していきます。

 

 

連作障害になりやすい野菜

連作障害になりやすい野菜まとめ。連作障害になる仕組みについて。|画像1

 

ナス科
アブラナ科
ウリ科
マメ科
バラ科

は連作障害が出やすい作物としてよく知られています。科ごとの主な種類名と、連作障害で生じやすい病害虫被害を以下にまとめます。

科名 種類 生じやすい病気・虫
ナス科 ジャガイモ・ナス・トマト・ピーマンなど 青枯れ病、萎凋(いちょう)病、半身萎凋病、立ち枯れ性疫病、根瘤(ねこぶ)線虫
アブラナ科 ハクサイ・キャベツ・ブロッコリー・小松菜など 根瘤病
ウリ科 キュウリ・スイカ・メロンなど 蔓割れ病、線虫類
マメ科 エンドウ 立ち枯れ病
バラ科 イチゴ・リンゴ・梨・ビワなど 萎黄病、萎凋病

連作障害が生じる原因は単一ではありません。しかし代表的な原因の一つに、土壌中の養分バランスが崩れることが挙げられます。同じ野菜を同じ場所で栽培することで特定の栄養分の吸収が進みます。それにより土壌中の養分に偏りが生じると、野菜の生育に悪影響が及ぶようになります。微量要素(鉄やマンガンなど)の欠乏によって生じる生育障害もあります。

連作障害が起こりやすいナス科やアブラナ科などの作物は「肥料食い」として知られています。肥料食いの作物は肥料を吸収する力が強く、肥料が切れると生育に影響しますが、成長に合わせて定期的に追肥を行うと大きく生長していきます。そんな作物だからこそ、連作で特定の栄養分をぐんぐん吸収し、連作障害が起こりやすい土壌環境にしてしまうのではないかと考えます。

また連作障害の原因として挙げられる病害(土壌病害含む)。特定の作物に生じる土壌病害もありますが、ある程度は同じ科で共通します。同じ科に共通する土壌病害の被害が出やすくなるため、種類が違くても同じ科の作物を続けて作付けする(例えばナスの後にトマト、ピーマンを作付けるなど)のは「連作」となるので、注意が必要です。

関連記事:【忌地対策】連作障害の要因&輪作や輪作以外の対策法を知って、忌地になるのを防ごう

 

 

連作障害への対策

連作障害になりやすい野菜まとめ。連作障害になる仕組みについて。|画像2

 

上記関連記事では、輪作以外の対策法として「抵抗性品種の選択」「接木」「土壌改良」を紹介していますが、基本的には「連作しないこと」が効果的です。

輪作

輪作は、同じ場所に同じ作物を続けて植えないよう、畑を区分けし、毎年異なる作物を順に作っていく方法です。輪作を行うことで、土壌中の養分バランスが崩れるのを防ぐことができます。

輪作を行う際は、連作障害が生じやすい野菜の作付け間隔「輪作年限(休栽年限)」を確認し、計画的に植える場所を設定する必要があります。

関連記事:今さら聞けない連作障害の原理。なぜ連作障害は生じるのか

コンパニオンプランツの活用など

とはいえ、特定の作物の生産を維持するため等の理由で連作せざる得ない場合もあります。そのような場合には、連作障害が生じにくい畑にすることで対策します。

例えば栄養や土壌微生物のバランスのよい土にするために、

雑草や緑肥を活かして生態系のバランスを整える
土壌中の有用微生物の密度を高めるため、完熟堆肥などの有機物を投入する
センチュウ予防にキク科植物をナス科やウリ科の病害対策にネギ科植物といったコンパニオンプランツを活用する

などの方法があります。

畑を休ませる&休ませている間の工夫

頻繁に行えるものではありませんが、作物生産を休む期間を作ることも連作障害の緩和には効果的です。

青刈作物※などを作物生産の合間に栽培し、その栽培により得られる有機物を土にすき込むことで土の再生を促すことができます。


種実の充実を待たずに地上部をかりとり,家畜の飼料にする作物の総称。おもなものに青刈トウモロコシ・青刈エンバク・青刈ダイズなどがあり,乾燥させたりサイロに入れたりして保存することが多い。
緑肥として田畑にすきこむレンゲソウ・ルーピン・クローバーなども青刈作物という。

引用元:あおがりさくもつ【青刈り作物】|あ|辞典|学研キッズネット

作物を作らない時期に圃場に水を張る「湛水」を行ったり、3〜4年の周期で計画的に圃場を水田と畑に変え、イネと野菜を交互に栽培するのも連作障害への対策の一つです。連作障害の原因となる病害虫の多くは酸素を必要としますが、水を張ると酸欠状態になるため、湛水は病害虫の駆除につながります。

作物を作らない時期に土壌を深く耕し、表層と深層を入れ替える「天地返し」や、消毒剤や太陽光による土壌消毒を行うのも効果的です。

 

参考文献

  1. れ|農業・園芸用語集|タキイ種苗株式会社
  2. 月刊 現代農業2019年10月号 土肥肥料特集 連作障害ってホントはなに?
  3. 連作障害を防ぐ|JAいがふるさと
  4. 「連作障害」の原因と対策|JAこうか
  5. 養液土耕栽培における連作障害/土壌病害とは何か?原因と対策をご紹介
  6. 連作障害はなぜ起こる?発生原因と作物への影響、対策方法|コラム|セイコーエコロジア
  7. 連作障害と輪作

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