【植物の病害あれこれ】べと病について。べと病の原因やべと病になりやすい作物、対処法を紹介

【植物の病害あれこれ】べと病について。べと病の原因やべと病になりやすい作物、対処法を紹介

本記事では、病害「べと病」についてご紹介していきます。

 

 

べと病の症状と原因

【植物の病害あれこれ】べと病について。べと病の原因やべと病になりやすい作物、対処法を紹介|画像1

 

べと病はカビ(糸状菌)による代表的な病気の1つです。被害を受けた野菜によって症状は異なりますが、基本的には、まず葉に淡黄色をした斑点ができるのが特徴です。症状が進むと斑点が拡大し葉全体に広がって、色は淡褐色、黄褐色へと変わり、葉裏には灰色のカビが生じます。このような状態の葉は雨が続いて湿度が高くなるとベトベトになります。

多湿を好み、風や雨によって伝染するべと病は4〜7月、9〜10月に発生しやすく、特に梅雨の時期は発生が目立ちます。一方で、真夏には発生が落ち着きます。

べと病になりやすい作物には、キュウリをはじめとするウリ科の野菜や、キャベツやダイコンなどアブラナ科の野菜が挙げられます。

 

 

べと病の対処法

【植物の病害あれこれ】べと病について。べと病の原因やべと病になりやすい作物、対処法を紹介|画像2

 

多湿を好むべと病の対策として、まずは密植を避け、圃場の排水を良くし、過湿にならないよう注意することが挙げられます。

また後述する野菜別のべと病の特徴や対処法でも紹介しますが、土壌からの感染を回避するために連作を回避すること、連作が避けられない場合は太陽熱や農薬などを利用した土壌消毒を行うこと、畑では敷きワラやビニールマルチを活用することで土壌からの感染を少なくすることなどが対処法として挙げられます。

梅雨の時期や秋雨の時期に被害が多くなるため、予防的に薬剤散布を行うことも効果的です。べと病の原因菌は葉の裏表にある気候から葉の組織に侵入するため、薬剤散布は葉の裏表にまんべんなく行いましょう。

もしべと病に罹ってしまった株が見つかった場合には、適宜抜き取り、圃場に残さないようにしましょう。抜き取った株はべと病の胞子が飛散しないよう、肥料袋などに入れて密閉し、直射日光に長時間さらしてから処分します。

圃場を片付ける際、べと病に罹った株を圃場にすきこまないようにしてください。

 

 

野菜別、べと病の特徴とその対処法

【植物の病害あれこれ】べと病について。べと病の原因やべと病になりやすい作物、対処法を紹介|画像3

 

ホウレンソウべと病

ホウレンソウべと病の原因菌である糸状菌(ペロノスポラ エフサ)はホウレンソウのみに害を及ぼします。症状は先で紹介したべと病の特徴同様、下葉の表面に黄白色の斑点が生じて次第に拡大していき、葉全体が淡黄色に、葉裏に灰色のカビが生じる、というものです。被害が激しいと葉の一部または全てが黄白色になり、枯れてしまいます。

ホウレンソウべと病の原因菌は、葉の組織の中で繁殖し、被害株について越冬も行います。気温が上昇すると葉の上に胞子を形成し、風などで飛散して空気伝染します。また種子に付着し、種子伝染もします。

そのため対策としては、種子伝染を防ぐため、健全な種子や種子消毒済みの種子を使うことが挙げられます。周年栽培を行う圃場の場合は土壌伝染する可能性も高まるため、土壌消毒や予防的な農業散布、抵抗性品種の利用などが対策として挙げられます。

玉ねぎべと病

玉ねぎべと病は「ペロノスポラ デストラクター」という糸状菌が原因菌です。

玉ねぎべと病の症状には2種類あります。1つは全身感染型と呼ばれ、秋に感染した病原菌が冬季の間に全身へ蔓延し、2〜3月になって発病するというものです。葉の光沢がなくなり、淡黄緑色になります。早春の温暖で多湿な条件では、全身に白色のつゆ状または暗紫色のカビが生じます。

もう1つは二次感染型と呼ばれ、こちらは葉に長卵形または楕円形の黄色がかった大型の斑点が生じるものです。多湿条件下では斑点状に白または暗紫色のカビが生じます。

原因菌が形成する卵胞子は、土壌中や玉ねぎべと病に罹った植物残渣中で10年以上越冬生存するといわれています。日照不足で雨の多い年、排水が悪い多湿な圃場で多発します。

そのため対策としては、圃場が過湿にならないよう、排水の悪い圃場では高畝栽培を行ったり、健全な苗を使うことなどが挙げられます。

メボウキ(バジル)べと病

メボウキ(バジル)べと病は、2014年に国内で初めて発生が確認されたべと病です。葉は黄色くなり、葉裏につゆ状のカビが生じます。症状が進むと葉裏全体が黒から灰白色のカビに覆われていき、枯れていきます。

どのべと病においてもそうですが、べと病が定着しやすい条件(多湿や肥料不足により肥料切れを起こし、植物が軟弱になったときなど)では進展が早く、被害も大きくなりやすいため、先で紹介した対策同様、以下の対策を心がけましょう。

  • 密植を避ける
  • 圃場の風通し、排水を良くする
  • 施設栽培の場合は換気や、可能であれば除湿を行い、湿度を適切に管理する
  • 登録農薬で予防的な防除を行う
  • 早期発見に努め、発病した株は直ちに圃場外へ持ち出し、処分する
  • 栽培終了後、圃場内に発病した株の残渣が残らないようにする

 

参考文献

  1. べと病|病気について|病害虫図鑑
  2. 【必見】べと病とは?被害症状や防除方法を有効薬剤と共にご紹介。
  3. 各地で話題の病害虫
  4. ホウレンソウべと病
  5. 病害虫・生理障害 – タマネギ
  6. タマネギのべと病について | 営農通信 | JAあつぎ
  7. 最近話題となっている病害虫
  8. たまねぎ べと病発病株は圃場外に持ち出しましょう

病害カテゴリの最新記事