コンパニオンプランツとは“同じ場所に植えることで、互いによい影響を及ぼし合う植物の組み合わせ(出典元:小学館 デジタル大辞泉)”のことで、病害虫を防いだり、生長を促進したりする効果が知られています。
コンパニオンプランツを利用すると、野菜同士がよい影響を及ぼし合うおかげで無農薬栽培がやりやすくなったり、畑の空いたスペースを有効活用できたりとメリットがありますが、注意しなければならないのが、2種類以上の野菜を「ただ植え合わせるだけ」ではダメだという点です。
いくら野菜同士の相性が良いといっても、どのような距離で植えるのか、どのようなタイミングで植えるのかによって、その効果はガラリと変わってしまいます。
本記事では、トマトのコンパニオンプランツとしてバジルとラッカセイに着目。なぜ相性が良いのか、コンパニオンプランツとして植える際、どのような点に注意したらよいのかについてご紹介していきます。
コンパニオンプランツの代表格、トマト×バジルの場合
トマトとバジルは代表的なコンパニオンプランツの一つです。トマトとバジルを植え合わせると、バジルが水分を吸収してトマトが好むやや乾燥した環境にしていきます。ただし、草勢はバジルの方が圧倒的に強いため、同時に植えると、生育の強いバジルにトマトが抑え込まれてしまうことがあります。
そこで、トマトの苗を植えてから1週間後にバジルの苗を、芽の先端を摘み取る作業(摘芯)をしてから植えます。そうすることでバジルの生育が抑えられ、トマトの生長を有利にすることができます。栽培中もこまめに摘芯や収穫を行い、バジルの勢いを抑えこみます。
またバジルは高温多湿な環境を好みますが、バジルより背の高いトマトの直線上にバジルを植えることで半日陰となり、バジルの生育を抑えることができます。半日陰の環境下で育てると、やわらかい葉が収穫できます。
トマトを通常の株間(40〜50cm)で植え、トマトが活着したら、その株間にバジルを植えます。
なお、大玉トマトはミニトマトより生育が弱いので、生育を有利にするために、本葉が6〜8枚の大苗を「斜め45度」に植えましょう。トマトは茎のどこからでも根を出します。斜めに植えると、土に埋もれた茎から根を出し、根量が増えます。
相性の良いトマト×ラッカセイの注意点とは
トマトとラッカセイは同じような環境下を好む、相性の良いコンビです。トマトもラッカセイもやや乾燥した気候と日光を好みます。
どちらも日光を好むため、先で紹介したトマトとバジルのようにどちらかが半日陰〜日陰になるような位置で育ててしまうのはNG。トマトとバジルは一直線上に植えますが、トマトとラッカセイの場合は、ラッカセイをトマトの株間からずらして植える必要があります。
トマトとラッカセイは根の深さが異なり、地下ではケンカになりません。一方、トマトが地上から垂直に大きく成長するのに対し、ラッカセイは横に広がって育ち、高さはあまりありません。トマトが地上から1m以上の高さになるのに対し、ラッカセイの高さは15cmほど。植える位置を誤るとラッカセイに日が当たらないことが容易に想像できます。
トマトの株間を結ぶ線から平行に20cmほどずらした位置にラッカセイを植えます。トマトとラッカセイの距離は文献によってさまざまですが、大体25〜40cmの間で植えます。
なお、ラッカセイはトマトを過度の乾燥から守り、病気のもととなる雨の泥のはね返りからもトマトを守ります。ラッカセイの根に共生する根粒菌が空気中の窒素を固定するため、追肥しなくてもトマトに養分が供給される利点もあります。
そんなラッカセイをコンパニオンプランツとして植える際は、鳥に見つからないよう、トマトを植えた日の夕方に植えてください。
土壌が粘土質の場合には、エダマメがラッカセイの代わりとなります。
参考文献
- 『野菜だより 2019年03月号』(学研プラス、2019年)
- 果菜類と一緒に育てるコンパニオンプランツ | タキイネット通販
- 9.作物を育てるコツ その1 / ナス科 トマト | 有機農業をはじめよう!