一般社団法人日本スーパーフード協会が発表した「2022食のトレンド予測」で、2022年に日本でブームとなる可能性が高いスーパーフードの第1位に「青パパイヤ」が挙げられました。
青パパイヤに注目が集まる理由
冒頭で紹介した「食のトレンド予測」は、アメリカを中心とした海外市場と現在の日本市場の流れをすり合わせて予測されたものです。現在の食のトレンドを分析したところ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり「免疫強化」「プラントベース※」といったキーワードに統括され、これらを考慮した結果、「青パパイヤ」が1位となりました。
※動物由来の原材料は使用せず、植物由来の原材料を使用した食品全般
どんな食べ物?
青パパイヤは、フルーツとして食べられる完熟した黄色いパパイヤとは違い、完熟前の緑色の果実を食べます。アジア料理などによく用いられます。同じくアジア料理によく用いられるパクチーとは違い、味は淡白でクセがないので、アジア料理に限らず、炒め物や煮物、漬物などにしても美味しく食べられます。
青パパイヤにはタンパク質分解酵素「パパイン」が豊富に含まれています。パパインの働きにより、消化や代謝がアップすると免疫力を高めることにもつながるため、健康志向が高まっている消費者のニーズに見合った食べ物ともいえます。
生産者にとっても魅力的
青パパイヤは
- 病害虫に強い
- 鳥獣害による被害が少ない
- 植えてから収穫するまでの期間が比較的短い
- 栽培の手間があまりかからない
などの特徴があります。
病虫害に強い青パパイヤですが、後述する栽培条件に合わない環境、例えば長期間過度な乾燥にさらされるとハダニやうどんこ病にかかるリスクは高まります。また他の農作物同様、近くに病気の作物があれば、病気にかかる可能性は高まりますし、定植直後は他の植物から飛来してきたアブラムシなどから被害を受けることもあります。
それでも、青パパイヤの特徴的な性質が、病原菌や害虫から自身を守ります。青パパイヤは果実表面や茎葉を傷つけると「ラテックス」と呼ばれる乳白色の分泌物を出します。これは空気に触れると固まるのですが、それが傷からの病原菌や害虫の侵入を防いでいると考えられています。また農業生産資源研究所によると、ラテックスに含まれる酵素(システインプロテアーゼ)が青パパイヤの耐虫性に関わる物質として機能していることが分かっています。
鳥獣害が少ないことについてはあまり研究されていないようですが、野生動物は青パパイヤに興味を示さないといわれています。
上記のような特徴から生産に取り組みやすい青パパイヤ。栽培する際の注意点が全くないわけではありませんが、近年、日本での生産量が急速に増加しています。
青パパイヤの基本情報
青パパイヤの栽培に関する情報を表に示します(注:本州で栽培する場合)。
青パパイヤの栽培 |
1年1作(春植え、秋収穫) |
生育適温 |
23~28℃
→18℃ 生育が緩慢になる →14℃以下 出葉・開花が停止する →5℃以下 枯れる |
生育に適したpH |
pH6〜8
→アルカリ土壌が得意 →強酸性土壌では生育不良が起きやすい |
生育に適した環境 |
日当たりがよい
排水性がよい 肥沃である →乾燥ストレスに弱いので、環境によっては潅水設備が必要 |
収穫量の目安 |
コンテナ栽培 5〜10個/株
露地栽培 20〜30個/株 |
青パパイヤは平均最低気温が14℃を上回ると生育速度が高まります。平均気温が20℃を上回ると急激に成長を始めます。この時期には意識的に追肥を行います。
なお元肥は、定植前に緩効性肥料を全面に施肥します。定植後、生育初期までは平均気温が低いこともあり、成長速度は緩やかです。この時期の施肥は最低限で問題ありません。
参考文献