遊休農地などの粗放的利用に役立つ!?少しニッチな栽培作物とは

遊休農地などの粗放的利用に役立つ!?少しニッチな栽培作物とは

少し古い資料ではありますが、農研機構が発行している「中央農研ニュースNo.79」(2018年5月)にこんな1文があります。

高齢化の進展に伴い2035年の農業就業人口は現在の約1/3の64万人程度まで減少すると予測されています。

農業従事者が減少するのに伴い、手が回らなくなった田んぼや畑も増えつつあります。そんな耕作されないと見込まれる農地をできるだけ手間をかけずに利用する方法が注目を集めています。

本記事では、いわゆる米、野菜とは異なる、少しニッチな栽培作物を紹介します。

 

 

薬用植物(ドクダミ、ヨモギなど)

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農地に限らず、比較的よく目にする「ドクダミ」には薬用植物としての需要があります。ドクダミの利点は、色々なところで見かけるだけあって、さまざまな環境条件に強い点があげられます。晴天が続いてもあまり枯れず、大雨で浸水しても生育にあまり大きな影響は出ません。

日陰を好む植物なので、日当たりが良好な農地で栽培する場合には、遮光率が高い寒冷紗などを被せて栽培するとよく育ちます。

販売元は薬草問屋など。使い道はお茶にしたり、お風呂に入れたりするほか、大量に生産できれば化粧品などにも利用できます。

また薬用植物として「ヨモギ」もあげられます。調べてみると、遊休農地の活用のため、ヨモギ栽培が進められている地域が見受けられます。ウェブサイト「上越妙高タウン情報」に掲載されているJAえちご上越の事例を読むと、ほ場への定植に苗ではなく自生した根を植えており、栽培の簡便さがうかがえます。

遊休農地といえば、畑が放置されることで雑草が繁茂し、鳥獣の住処となってしまうなどの問題がありますが、ヨモギはイノシシが食べないこともあって、鳥獣害対策の手間を1つ減らせます。ヨモギは栽培した年には収穫できないものの、翌年から出荷が可能です。

 

 

花木(菜種、クルミなど)

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たとえば「なたね」は、農林水産省が公開した「耕作放棄地への導入作物事例」にも掲載されているように、遊休農地におすすめの作物です。美しい景観をもたらすなたね畑は、地域活性化活動との連携がしやすいほか、菜種油の販売につなげることができます。

調べてみると他にユーカリやサカキ、レンギョウや梅などの花木が有給農地活用の作物としてあげられています。

食べられる木の実が得られる木々も候補にあがります。たとえばクルミは、殻が厚いことでイノシシやサルに食べられる心配が少ないだけでなく、樹高が2m以上になれば獣害の心配がなくなります。収穫時には、野ネズミやリスが落ちた実を狙ってやってくるので早めに収穫する必要はありますが、落ちた実を拾うだけという簡単な作業で済みます。

 

 

山菜(コゴミ、ワラビなど)

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遊休農地での栽培が進められている山菜には、コゴミ、ワラビ、イタドリなどがあげられます。

たとえばコゴミは、植え付ける場所をあまり選ばないという点や、親株からランナーが発生し、その先に芽を出した子株からもランナーが発生し、と増える点が遊休農地の粗放的な利用に役立っています。また多くの山菜と違い、アクがなく、そのまま調理できる点が販売する際に訴求効果をもたらすといえます。

ワラビは山菜の中でもよく知られており、消費者ニーズの高い山菜です。JAあいち豊田のウェブサイトによると、ポットで育てた苗は収穫までに3年、地植えから始めると6年かかってしまうとあり、そこがやや難点といえますが、1度根付けばかなり長い年月収穫することができ、野生動物による食害もありません。

 

参照サイト

(2024年6月18日閲覧)

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