農業を観光資源にする取り組み。農作物づくりだけが農業ではない

農業を観光資源にする取り組み。農作物づくりだけが農業ではない

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近年、農業界には新規就農者の増加など前向きなニュースも耳に入ってくるようになりました。しかし、まだまだ農業従事者の高齢化や後継者不足、それに伴う耕作放棄地の増加などの課題は解決していません。

そんな中、農業と観光を結びつけることで、農業に新たな価値を生み出す動きが始まっています。農業は観光資源になり得るのです。

 

農業の新たな試み

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昨今、観光などで日本を訪れる外国人、通称インバウンド(訪日外国人)が増えています。そんなインバウンド需要に目をつけ、日本独自の文化や技術を伝える農業体験を観光資源として取り組む農園が増えてきています。

観光農園である「中込農園」では、公式ホームページを英語表記し、日本の伝統文化や風習、栽培技術を発信することで「日本を知りたい」外国人旅行者を呼び込むことに成功しています。

体験できるのは果実の収穫や剪定などの農作業です。観光資源と農業を結びつけることで、農業経験を観光の思い出として提供するだけでなく、技術を伝えることにもつながります。

なお農業を観光と結びつけることで、一見すると人が来なさそうな作業にも人を呼び寄せることができます。例えば「雑草取り」。自然農法など雑草取りをせずに農産物を育てる農法もありますが、いわゆる栽培方法において、雑草はとても邪魔な存在です。

そんな雑草取りは「農業体験ができる」という付加価値によって魅力的な内容へと様変わりします。普段都市部で暮らす人たちにとって、農業体験そのものが新鮮なのですから。もちろん、ただ単に「雑草取りができます」と書いては、人を呼び寄せることは出来ないでしょう。しかし農業未経験者にとって「何が魅力的か」を考え、行動することで、農業には人を呼び寄せる効果があると気づくことができます。

 

日本政府が掲げる観光資源としての農業、その目標

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現在、日本政府は観光政策として「農泊」を推進しています。農泊は農村へ滞在する旅行のことを指します。農林水産省はこの農泊をビジネスとして成り立たせるために、農泊が成り立つ地域を500にするという目標を掲げています。

なお訪日外国人の数は、2017年に約2870万人で、前年から19%も増加しています。
それに伴い、日本に訪れる観光客の旅行消費額も4.4兆円と過去最高額に達し、日本の産業として「観光」が成長していることがわかります。

農林水産省と観光庁は、インバウンドによる農山漁村への訪問・滞在の促進、その地域の活性化を目的に、2015年5月「Japan. Farm Stay」シンボルマークを制定しています。マークを制定することで「農泊」や体験民宿のブランド化をはかる狙いです。

 

体験型観光に残された課題

農業体験含め体験型観光への関心は高まっているようにも思えますが、課題も残されています。例えば、農家と観光事業者を結びつけることの困難さが挙げられます。
旅行会社や観光事業者は農家さん1人1人、1軒1軒と向き合う必要がありますが、限度があります。また体験を提供する側が協力的であったとしても、ボランティアガイドなどと旅行商品取引ができない場合もあるのです。

観光事業との提携が未発達なため、農業体験中に起きた事故やけがに,旅行傷害保険が対応できない場合も考えられます。

また体験を提供するわけですから、旅行者が満足できるような「本物の体験」を提供する必要があります。そのためには、今まで農業に従事してきた人やその地域に根ざしている人の協力が必要不可欠です。ただ体験するだけなら、その地域にわざわざ出向く必要はなくなります。その地域にまで人を呼び込むためには、わざわざ足を運ぶ価値を生み出す必要があるのです。

農業と観光を結びつけることで、新たな農業収益を生み出すことができますが、上記のような課題から、簡単に実行できるものではないと分かります。
「農泊」への取り組みに積極的な地域では、農業や観光に留まらず、さまざまな産業を横断している人材の育成や組織作りに力を入れているところもあるようです。この取り組みの発展には、農業や観光に限らず、広い役割を担う受け入れ団体の力が必要になってくることでしょう。

 

外国人観光客を呼び寄せる場合には

はじめに紹介した「中込農園」のように、ホームページやウェブサイトを英語表記にするところから始めてみましょう。問い合わせがあった時に、英語で対応できるように準備しておくことも重要です。

もちろんこれらは、自分1人で抱え込む必要はありません。自分の苦手分野を得意とする人に頼むことも、農業と観光を円滑に結びつけるコツと言えます。
もし地域全体で盛り上げたいのであれば、英語表記はインターネット上だけでなく道案内やパンフレットにも用意しておきましょう。

より積極的に人を呼び込みたいのなら、SNSサービスや動画サイトも活用します。
現代で活用できるツールは全て活用するのがコツです。そしてこれらの方法は、インバウンド需要に限らず、農業体験に人を呼び寄せる場合には有効です。とにかく自分たちで積極的に行動し、継続することが成功するカギになるのです。

今まで農業に特化してきた人が観光と結びつけるため、これらを一度に全てやるというのは難しい話ではあります。しかし、もしも農業と観光の結びつきに興味があるのであれば、少しずつでいいので上記のような人を呼び寄せる方法に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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