新型コロナウイルスの感染拡大により、売り上げが下がってしまった事業者に対し、国は現金給付を行うことを決めました。それが「持続化給付金」です。4月27日には、最速で、大型連休明けの5月8日は給付が開始されると報道されました(参考文献1)。
本記事では「持続化給付金」についてまとめます。
持続化給付金の概要
持続化給付金は
感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を
下支えし、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を支給します。引用元:持続化給付金に関するお知らせ(速報版)経済産業省 1ページ
とあります。
給付される額は、昨年度の年間売上からの減少分を上限として、
- 個人事業主※ 最大100万円
- 法人 最大200万円
が、申請から2週間程度で振り込まれます。
“昨年度の年間売上からの減少分”は「前年の総売上(事業収入)ー(前年同月と比べて売上が50%以上減少した月の売上×12ヶ月)」で計算します。
商工業のみならず幅広い業種が対象となりますが、給付金を受け取るためには以下の要件を満たす必要があります。
※経済産業省の資料には“開業届を出していなくても可”とありました。これは確定申告さえしていれば、開業届を出していない場合や、発注者からの契約が口約束だった場合にも、申請可能であることを指しています(参考文献3)。
対象となるのは?
給付対象要件は以下の通りです。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者。
2.2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続
する意思がある事業者。
3.法人の場合は、
①資本金の額又は出資の総額が10億円未満、又は、
②上記の定めがない場合、常時使用する従業員の数が2000人以下
である事業者。引用元:持続化給付金に関するお知らせ(速報版)経済産業省 1ページ
この要件に当てはまらなくても、特例が認められる場合があります。たとえば2019年に事業を始めた場合には以下の計算式が用意されています。
給付額=(2019年の年間事業収入×12/2019年の開業後月数)-(対象月の月間事業収入×12)
ただし2019年に事業を始めた場合には、そのことを証明する書類、個人の場合は開業を証明する書類(開業届など)、法人の場合は履歴事項全部証明書を、以下で紹介する必要書類に追加して提出する必要があります(参考文献3)。
なお、申請期限は2021年1月15日まで、一度給付を受けた人は再度給付申請はできません。
申請方法
持続化給付金は基本的にはWeb申請で行います※。専用ホームページが開設されているのでチェックしてみてください。
- 専用ホームページにアクセスする
- 申請フォームに必要事項を入力する
- 必要書類を添付する
- 申請
2の具体的な入力項目は、経済産業省の資料に掲載されています。3の必要書類の添付ですが、スマホで申請する場合には写真を添付すればOKとのことです。
※Web申請が難しい場合には、全国に支援窓口を設置し、申請のサポートが行われるとのこと。ただ、スーパーマーケットや信用金庫等で働く人たちの不要不急の来客に対する疲弊の声が連日報道されていることを考えると、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するためにも、できる限りWeb申請で、人との接触を減らす心がけをしたいものです。
必要書類
申請の際、添付が必要になる書類は以下の通りです。
1)2019年(法人は前事業年度)確定申告書類
2)対象月の月間事業収入がわかるもの
3)通帳写し(振込先口座情報の確認のため)
4)(個人事業者の場合)本人確認書類写し参照元:持続化給付金に関するお知らせ(速報版)経済産業省 3ページ
それぞれ詳細を記載します。
1)
個人(青色申告) | 確定申告書第一表 | 所得税青色申告決算書の控え |
個人(白色申告) | 確定申告書第一表の控え | |
法人 | 確定申告書別表一 | 法人事業概況説明書の控え |
太字で示されたものは、収受日付印の押印が必要になります。またe-TAXで確定申告を行っている場合には、これら書類に相当するPDFデータをダウンロードし、提出します。
2)
売上台帳など、確定申告の基礎となる書類が2)にあたります。書類は、エクセル形式でもクラウド会計サービスのデータでもOKです。
3)
電子通帳を利用している場合には、画面をコピーしたものを用意しましょう。
4)
本人確認書類は
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 住民基本台帳カード
- 在留カード
- 特別永住権証明書
- 外国人登録証明書
などが挙げられます。
また経済産業省の資料にも記載されていますが、
- 代替書類が認められる場合
- 追加の提出書類を求められる場合
があります。
申請前には必ず申請要領等を確認するようにしましょう。
それから、まだ決定したわけではありませんが、4月26日の日本農業新聞に「JAが組合員の申請入力作業を代行できるよう調整中」とありました。Web申請が難しい人にはありがたい支援だと思うので、持続化給付金が開始されるニュースとともに、要注目です。
※5月14日の日本農業新聞で「農林水産省が持続化給付金を周知するために、農家向けのちらしを発行した」という記事がありました。農林水産省は期限内での持続化給付金申請を呼び掛けています。また農業会計ソフト「農業簿記11」などを提供するソリマチ株式会社が、農業個人事業者向けに、ソリマチ株式会社の製品を使った「持続化給付金」申請のための確認、出力方法を紹介しています。
▼関連URL
- 日本農業新聞 – 持続化給付金周知へ 農家向けにちらし 期限内の申請呼び掛け 農水省
- 持続化給付金(農林漁業者・食品関連事業の皆様も対象です):農林水産省
- (農業個人事業者用)「持続化給付金」の算定方法
参考文献