安定的に農業を継続していくためには、農業事業の拡大が必要であるケースが多いとされています。
しかし農地の取得には多額の費用がかかり、農業の施設や機械にも高額な物が多いのが現状です。このため、事業は拡大したいけれども資金的にできないというジレンマを抱える農家は非常に多いようです。
そういった農家をサポートする事業が『担い手確保・経営強化支援事業』です。
本記事では担い手確保・経営強化支援事業の概要について説明していきます。
担い手確保・経営強化支援事業とは
担い手確保・経営強化支援事業は、農業従事者の経営発展を促すために農業用機械や施設等の導入を支援する事業です。
例えば農地の取得と農業用機械の導入に3,000万円の融資を受けた場合、最大でその半分となる1,500万円の助成金を受けることができます。
農業用に融資を受けても返済できなければ、その農家は離農を選択することになります。そういった事態を防ぐのがこの事業の目的です。
補助対象となる為の条件
事業を実施する地区
担い手確保・経営強化支援事業に関しては、以下の双方を満たす地域で実施されることになっています。
1.適切な「人・農地プラン」が作成されている地域
「人・農地プラン」とは、人と農地の問題を解決するため集落や地域単位で話し合いを行い、様々なことを決める取り組みのことです。
地域の担い手は十分確保されているか、将来の農地利用のあり方はどうか、農地中間管理機構の活用方針はどうするかなどを定めます。
その地域の農業を担う主要な農業従事者の意向を踏まえた話し合いが定期的に行われるとともに、その内容が公表、共有されているか、確実に公表する予定があることが、「適切な人・農地プラン」の条件とされています。
また、活動の中で、今後の農地集積、規模拡大、複合化、6次産業化、高付加価値化、新規就農促進等について十分検討されており、今後とも話し合い活動を継続して人・農地プランの向上を図っていくと見込まれる必要もあります。
ただし、人・農地プランを作成していない地域であっても、農地中間管理機構から賃借権等の設定等を受けた農業従事者が営農する地域を事業実施地区とすることも可能となっています。
2.農地中間管理機構を活用している地域
農地中間管理機構を活用して農地の集積・集約化を進めている地域であるか、または活用することが確実な地域である必要があります。
助成対象者
助成対象者は以下のどちらかです。
1.農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けている者であること
2.適切な人・農地プランに位置づけられた中心経営体であって、かつ認定農業者か認定新規就農者または集落営農組織であること
集落営農組織とは以下の全てを満たす組織です。
・代表者の定めがあり、定款又は規約が定められている
・共同販売経理を行っている
・目標年度までに法人化することが確実であると見込まれる
助成対象となる事業
以下の事業に対して助成が行われます。
・農産物の生産、加工、流通、販売その他農業経営の開始、または経営の改善に必要な機械や施設の取得もしくは改良
・農地等の改良、造成
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
・事業費が整備内容ごとに50万円以上
・原則として、事業の対象となる機械や施設(中古資材等で施設を整備する場合も含む)が5年以上20年以下の耐用年数を持つこと(中古の農業用機械は2年以上)
・運搬用トラック、パソコン、倉庫のように汎用性が高くないこと
・助成対象者の成果目標に直結すること
メリット、デメリット
メリット:融資額に応じて助成してもらえる
法人であれば最大で3,000万円、法人でないばあいは1,500万円までの助成金がもらえます。
なお、助成金の額は以下のA~Cうちから最も低い額と定められています。
A.事業費の半分
B.融資額と同額
C.事業費-融資額-地方公共団体等による助成額
少しわかりにくいと思うので具体例を挙げます。
3,000万円の設備投資をするために金融機関から1,400万円の融資を受け、市から300万円の助成を受けた場合、
A.3,000万円(事業費)の半分=1,500万円
B.1,400万円(融資額と同額)
C.3,000万円(事業費)-1,400万円(融資額)-300万円(助成額)=1,300万円
の中から、最も低い額の1,300万円が助成されます。
デメリット:融資を受ける金融機関が決まっている
助成金の対象は以下の機関がした資金のみです。
・農業協同組合
・農業協同組合連合会
・農林中央金庫
・日本政策金融公庫、
・沖縄振興開発金融公庫
・銀行
・信用金庫
・信用組合
・都道府県
まとめ
担い手確保・経営強化支援事業には一定の制限はあるものの、うまく使えば融資を受けた額と同額の助成金をもらえるため、農業従事者にとって非常に魅力的と言えます。
市町村の農政担当部局や都道府県の農政担当部局へ問い合わせると詳しく教えてもらえます。興味がある人は確認してみるといいでしょう。
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