農業経営が取り組みやすくなる?農業経営基盤強化準備金制度とは

農業経営が取り組みやすくなる?農業経営基盤強化準備金制度とは

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若い世代による地方移住や農業への新規参入の話題も見かけるようになり、「農業経営者が0になる」という極端な未来は来ないと考えられます。

ただ農業従事者の高齢化や後継者不足といった課題は、農作物の収量にも影響するはずですから、このまま続いてしまうと食料の安定供給にも影響を及ぼすことでしょう。

そんな中、今回着目するのは「農業経営基盤強化準備金制度」です。これは経営所得を安定させるための交付金を利用し、農業経営の基盤(農地や農業機械などの取得)を強化する目的から始まった制度です。

 

 

農業経営基盤強化準備金制度とは

 

この制度は、農業従事者が“経営所得安定対策等の交付金”を、農業経営改善計画に従い、「農業経営基盤強化準備金」として積み立てた場合のみ、この積み立てた金額を個人であれば「必要経費」に、法人であれば「損金」として算入できるという制度です。

この特例制度の適用を受ける場合には、複式簿記による記帳(個人の場合には、簡単な記帳に現金出納帳などを備付けるだけでもOK)を行い、確定申告の時期に青色申告をする必要があります。

しかしこの制度を受ければ、節税効果があります。農用地や農業機械を購入する際、農業経営改善計画に従って取り崩した積立金や、受け取った交付金をそのまま使うことで、その年の課税事業所得を減額することができるのです。

 

目的

 

「農業経営基盤強化準備金制度」の活用の目的は、農業経営の基盤強化であり、この制度を活用した経営発展です。例えば3年間準備金を積み立て、4年目で農地等を取得する場合、4年目に交付される準備金はそのまま利用することができます。交付金をそのまま投資に使うことができ、より良い経営発展が見込めると考えているのです。

 

利点

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この経営発展を後押しするための利点として節税効果があります。認定新規就農者になる際、市町村に「青年等収納計画」を提出します。これに基づき、農業経営基盤強化準備金として交付された金額を準備金として積み立てれば、確定申告の際、必要経費ないしは損金として算入ができます。積み立てない場合にはもちろん課税対象になります。

また複数の農作物を栽培している人に嬉しい利点があります。交付金の対象品目以外の品目に対して積み立てることもできるのです。農林水産省の資料に挙げられている例では、対象品目:大豆で交付金を受け取っている人がトマト栽培も行っている場合、トマトのハウスを得るための積立金として算入してもOKと書かれています。

 

対象者

 

 ①「畑作物の直接支払交付金」
 ②「米・畑作物の収入減少影響緩和交付金」
 ③「水田活用の直接支払交付金」
の対象者です。

①の畑作物は麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、菜種が対象です。
生産量と品質に応じて交付金額が決まります。

②は農業収入の減少を緩和するための交付金であり、その年の販売収入合計が地域ごとの標準的な収入額を下回った場合、その差額の9割を補うものです。

③は水田をフルに活用することを目的としています。麦、大豆、飼料用米などの作物を生産する農業者に交付されます。

 

 

対象となる資産

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・農用地(農地、放牧地など)
・農業用の建物(※「農業振興地域の整備に関する法律」の定める農業用施設用地に限る)
・農業用の構築物
・農業用設備(器具備品、機械装置、ソフトウエア)
などが挙げられます。

分かりやすいところでいえば、農業設備であるビニールハウス、トラクター、精米機、農作業管理ソフトなどが挙げられます。

ただしトラックやフォークリフトなどの車両は対象外となり、中古品も対象外です。

 

 

手続きについて

 

農業経営基盤強化準備金制度の適用を受けるためには、以下の手続きを行い、証明書の申請と確定申告が必要になります。

①証明書の申請(農業者または認定農業者等→農林水産大臣)
②証明書の交付(農林水産大臣→農業者または認定農業者等)
③証明書を確定申告書に添付(農業者または認定農業者等→税務署)

※申請は確定申告(2月16日~3月15日に間に合うよう、確定申告の1ヶ月~3週間前に行うこと。)

 

 

「青年等就農資金」という制度も

 

最後に、新規就農者を支援する制度についてもご紹介します。
農業経営にこれから携わりたい、そんな新規就農者の参入と定着のために「青年等就農資金」という制度もあります。これは農業を始めてから5年以内、一定要件を満たしている「認定新規就農者」が対象であり、個人・法人は関係ありません。

無利子の資金融資による支援で、資金の使い道は幅広く想定されており、農業用施設や機械、家畜の購入費などに利用できます。

この支援によって農地を取得することはできませんが、借地料の一括支払いはOK。これにより、相続できる土地を持たない非農家出身の参入者でも、農業経営基盤を強化し、積極的に農業に取り組むことができます。

現代の農業が抱えている課題は、すぐに解決できるものではありません。しかし持続可能性のある農業を継続させるため、農業経営の観点からも様々な取り組みが行われています。
利用できる制度はないか、時々確認してみることをおすすめします。

 

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