農業用建築物は固定資産税がかかる?補助金と減価償却を合わせて解説

農業用建築物は固定資産税がかかる?補助金と減価償却を合わせて解説

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農業用倉庫など、農業を行うのに必要な建築物を建てた後、気になるのが「固定資産税」です。
固定資産とは、土地・建物・機械・特許権など同一形態で継続して、営業に必要不可欠な資産のことを指しますが、これに対して市町村が課税します。
固定資産税は「固定資産税評価額×税率(ほとんどの自治体で1.4%)」で算出されますが、果たして農業用倉庫には固定資産税がかかるのでしょうか。かからない例はあるのでしょうか。
農業用倉庫を建てるのに役立つ補助金や減価償却の仕組みと合わせて解説します。

 

 

農業用建築物は固定資産税がかかる?

建築様式にもよりますが、基本的には「かかる」と考えたほうが良いでしょう。
もちろんかからない例もあります。基盤が地面に固定されていない倉庫は固定資産税がかかりません。

例えば、ブロックの上に物置などの倉庫が乗っているだけの状態の場合などを指します。ただしブロックを固定した場合には税金が発生します。

ここから先は「固定する」前提、すなわち建築物として固定資産税が発生する前提で話を進めていきます。

農業用倉庫を建てた後、土地地目変更登記が必要になります。土地所有者が行う申請であり、自分の農地に農業用倉庫を建てた場合には分筆の登記が必要になります。

時に登記簿上が「畑」「田」のまま、農業用倉庫が建っている場合もあるようですが、その場合においても市町村の税担当課が「課税の公平」の観点から、農業用倉庫が建っている場所と農地を分けて評価します。

ただ、この「課税の公平」の視点によって、税率がアップすることに対して戸惑う人も少なくありません。Yahoo!知恵袋によせられていた質問の概要を以下に記載します。

平成21年度に農業用倉庫を土地(畑)の一部に建てたところ、平成21年度の固定資産税の課税地目は「畑」だったところが、平成22年度には「宅地」に変更され、「宅地」の標準税率よりは低い税率だが、税率がアップしていた。

この質問者は、農業用倉庫は住宅ではなく事業用家屋なのだから、地目も「宅地」ではなく「畑」であるべきだと考えたようです。
ですが「宅地」とは「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」と定義づけられており、農業用倉庫が決して住宅利用ではなくても、地目として通用します。そのため「畑」で登記された土地に倉庫を建てた場合には、「宅地」扱いとなり、税金は高くなります。

 

 

固定資産税を抑える方法はある?

土地地目変更登記を正しく分筆が固定資産税を抑える方法と言えるでしょう。
土地地目変更登記は、一筆の土地の一部を変更することはできません。しかし広い畑の一部に農業用倉庫が建っただけで、その区画全てが「宅地評価」になり、課税が多くかかってしまっては経営を圧迫しかねません。
そこで必ず農地なみの課税になっているかどうかを確認するために「固定資産税の課税明細書」をチェックしましょう。畑と農業用倉庫が建っている区画がはっきりしているのであれば、減額要求が通り、是正される可能性が高まります。

また建物への固定資産税は「家屋」として扱われるか「償却資産」として扱われるかによっても課税額が変わります。「償却資産」として扱われれば、減価償却した残額が課税標準になるため、耐用年数に達すれば課税がなくなります。家屋かどうかを判断する基準の詳細は、農業用倉庫を建てる際に相談することをおすすめしますが、もっとも簡便な判断基準は「風が通るか否か」です。例えば堆肥舎など、雨よけの屋根と壁との間が空いているもの=風が通るものなので、償却資産として判断されます。

 

 

減価償却

減価償却の対象はいろいろありますが、その資産がどのくらい使えるのかを示す“耐用年数”は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって期間が定められています。

国税庁が発表する耐用年数表によると、農業用設備は7年とされています。また地域でも減価償却資産の耐用年数表が発表されています。例えば細目が倉庫用、作業用の「建物」の場合、以下のような年数が定められています。

材質 耐用年数
木造のもの 15
木骨モルタル造のもの 14
レンガ造・石造・ブロック造のもの 34
鉄骨鉄筋コンクリート造のもの 38
金属造(骨格材の肉厚が4mm超のもの) 31
金属造(骨格材の肉厚が3mm超 4mm以下) 24
金属造(骨格材の肉厚が3mm以下のもの、軽量鉄骨) 17
簡易建物 7~10

地域によって課が異なるとは思いますが、農業所得や農業用償却資産に関することは、役場の税務課や細かく分けられているのであれば住民税係や固定資産税係に相談してみましょう。

なお減価償却の処理方法は定額法と定率法の2種類あります。ただ一般的には定額法で計算する農家さんが多いようなので、今回は定額法の計算方法をご紹介します。

定額法では、毎年均等額を償却します。例として農業用設備100万円(耐用年数5年)とします。この場合、「100万円÷5年=年あたり20万円」を償却として経費計上します。また必ずしも年のはじめ、月のはじめに購入するとは限らないですよね。月の中途に購入した場合には、「何ヶ月分使ったか」を計算して、償却額を算出しましょう。

なお、2種類ある償却方法は、納税地を管轄する税務署へ届出を行う必要があります。忘れないよう注意してください。税金に関する疑問は、お近くの税務署に相談してみましょう。

 

 

補助金

ここまで農業用倉庫に関する「固定資産税」や「減価償却」について解説してきました。最後に「補助金」について解説します。農業用倉庫を少しでもお得に建てる方法として活用していただければ幸いです。

農業補助金は、農業に関わる個人・法人などが新しく農地を買う、農業を始める、農業機械を買うなど、事業に関する費用が発生する場合に活用していただきたい公的な補助金制度です。今回紹介するのは、補助金制度のほんの一部です。条件等詳細を知りたい場合には、ぜひ問い合わせてみてください。

経営体育支援事業

融資を活用して農業用機械・施設を導入する際に、信用取引で未決済のまま残っている融資残について、補助金を交付するプロジェクト。事業費や融資額などを加味して、上限300万円が助成金として算出。

農業経営基板強化資金

農業経営改善計画の達成に必要な資金について、低金利で融資を受けられる制度。金利は借入期間により多少変わるが、0.20~0.30パーセント(2018年5月23日現在)。借入限度額は、個人で3億円、法人で10億円で、償還期限は25年以内。

農業近代化資金

JAバンクが行っている資金貸し付けプロジェクト。施設の改良や造成、農地の改良、果樹の植栽、農業経営の規模拡大、生産方式の合理化など、幅広い用途に使用可能。利用者の条件は都道府県によって多少異なる。

都道府県や市町村が独自に行なっている制度もあるので、農業用倉庫を建てる場合など、費用が発生する場合には、ぜひ一度チェックしてみてください。

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