新規就農者に伝えるべき「農業」の険しさ

新規就農者に伝えるべき「農業」の険しさ

新規就農者に伝えるべき「農業」の険しさ│画像1

新規就農者が増加傾向にあると聞きます。
農業従事者の高齢化による後継者不足や耕作放棄地などの問題が取り沙汰される昨今、新規就農者が増えているという話題はとても明るいニュースのように感じます。

ただ「農業に興味がある」と地域おこし協力隊など国や地域の制度を利用して農業体験をしに行った全ての人が就農するわけではもちろんありません。
どの生業もそうですが、農業にも、働く上で感じる険しさが存在します。

今回は“新規就農者の声”なども参考に、新規就農者の現状と伝えるべき農業の険しさについてご紹介します。

 

新規就農者は増加傾向にある

新規就農者に伝えるべき「農業」の険しさ│画像2

農林水産省は持続可能性のある農業構造に向け、新たな農業の担い手の育成・確保を目指しています。
2016年には6万150人となり、2年連続で6万人超えを記録しました。
49歳以下は2万2025人で、3年連続の2万人超え、新規就農者全体に占める割合は35%にものぼります。なお農林水産省の調査結果より、若年層の数は平成26年から平成27年で1,300人も増加していることがわかります。

また女性の割合にも注目です。平成27年の調査結果で、農業就業人口181.6万人中、84.9万人がなんと女性です。
割合にすると全体の47%とほぼ半分です。農業経営者として活躍する女性はまだ少ないと聞きますが、農林水産省では「農業女子PJ(プロジェクト)」と呼ばれる活動を展開しており、女性の就農人口がこれからも増加することが期待できます。

 

農業は体力のいる仕事である

新規就農者に伝えるべき「農業」の険しさ│画像3

若年層の増加や女性の就農者についてご紹介しましたが、農業にはやはり体力が必要になります。
岩手県が発行している就農希望者向けの冊子「いわてde雇用就職」には、就農者のインタビューが掲載されています。そこで印象的だったのは、農作物の作目問わず「農業を目指す方へ」という欄に、ほとんどの人が「体力を使う仕事です」と回答していたことです。

「農業は体力を使う仕事が多いですが、とても生き生きと仕事ができるやりがいのある職業です」
「楽しいですが、体力を使う仕事も多いです」
「農業は体が資本で、とにかく体力が必要です」
「仕事は、天候にも左右される日があるため、体力、忍耐力が必要ですが、経験が無くてもやる気さえあれば大丈夫です」

ネガティブな意味で書かれているわけではなく、必要最低限の体力はつけておくべきというアドバイスのようにも思えます。
とはいえ、農業を始めたいと考えている人に対して伝えておくべき内容なのは間違いないでしょう。

ただ、就農者へのインタビューを読むと「大変さとやりがいは紙一重」なのだと感じます。「体力がいる」以外に、数人の就農者が共通して答えている言葉に「やってみなければわからない」が挙げられます。これもまた、新規就農者に伝えるべき農業の険しさであり、魅力であると感じます。

「やってみなければ分からないことが多いので、興味を持ったら、まず実践してみることをおすすめします」
「実際にやってみないと分からないことが多いので、まずは農業に触れてほしいです」
「向き不向きを迷う前に体験することをおすすめします」

もし周りに農業に興味を持っている人がいたら、農業の大変さを正直に伝えながらも、彼らがまず農業を体験できる環境を提供したいですね。

 

生計を立てづらい

新規就農者に伝えるべき「農業」の険しさ│画像4

先で紹介した農業の険しさは「作業面」でしたが、こちらは「経営面」での険しさです。全国新規就農相談センター実施のアンケートによると、「農業所得だけで生活できていない」新規就農者が約7割を占めています。

「3年は食べていけない」とも聞きますが、就農5年以上の人であっても、その3割が生計を立てられないと言います。生計の目処が立たず、農業をやめ他の職につく人もいます。
農業で必要なスキルは、決して「作業面」だけではないんですね。
「経営面」についても学んでいないと、生計を立てることが困難になります。
生活のために必要なお金を農業収入だけで得ようと考えたとき、野菜の利益率は何%に設定するか、どのくらいの売上高が必要になるか、その売上のためにどのくらいの農地が必要なのかを考えなければ、農業で生活をまわしていくのは困難でしょう。

近年では、経営面をサポートする研修制度や学びの場も提供されています。
また地域おこし協力隊の制度など国の制度を活用すれば、農業研修を行なっている1~3年間は補助金を受け取りながら学べることもあります。が、いずれにせよ、1人立ちする際には「作業面」のみならず「経営面」での険しさにも直面することになるでしょうから、新規就農者に伝えておく必要はありますね。

今回は険しい一面についてご紹介しましたが、農業を始めようとしている人に助言する際には、険しさも正直に伝えた上で、魅力を伝えられるのが一番良いのではないでしょうか。
それが険しいと感じるかどうかは、新規就農者である当人次第ですから。ただ、農業はあくまでも生業ですから、「どんな作物をつくりたいか」「どこでつくりたいか」だけでなく「どんな待遇が必要か(働き方)」「どんな雰囲気の中で働きたいか」なども聞き出せると、もっと的確なアドバイスができるかもしれませんね。
 

数あるカクイチの製品の中から
農家の方へオススメな製品をピックアップしました。


 

経営課題カテゴリの最新記事