2019年3月26日の日本農業新聞によると、
ハクサイやダイコン、キャベツといった重量野菜の価格低迷が長期化している
引用元:重量野菜 価格低迷が長期化 産地に打撃 来月以降も 日本農業新聞
とあります。
一時期はキャベツの価格が高騰し、1玉400円になったこともあります。高騰したり、値崩れしたりと、重量野菜の価格が乱高下する理由は何なのでしょうか。
重量野菜とは
そもそも重量野菜とは、その名の通り重い野菜のことを指します。ダイコンやニンジン、サトイモやジャガイモ、キャベツやハクサイ、カボチャやスイカなどが重量野菜に当たります。
一方でホウレンソウやネギなどの野菜は軽量野菜と呼ばれています。
重量野菜か軽量野菜かの定義が定められているわけではありませんが、一般的に作業強度の大きさで分けられています。
重量野菜の価格低迷について
そんな重量野菜は現在、価格低迷が続いています。日本農業新聞によると、ハクサイやダイコンなどの価格は、昨年11月から平年を下回り、2月下旬にはハクサイが平年比6割安の31円/kg、ダイコンも4割安の52円/kgを記録しています。
価格乱高下が起こる原因とは
異常気象(天候不良)
異常気象や天候不良によって野菜の生育、収穫状況が大きく変化することが原因として考えられます。異常気象や天候不良によって野菜の生育が悪くなり、収穫量が低下すると価格は高騰します。
その一方で、好天が続き、収穫量が増加することもあります。一見すると好ましいことのように思えますが、価格は消費量とのバランスでも決まります。例えば2019年冬は暖冬傾向にあり、生育・収穫量共に順調でした。しかし、消費量以上に収穫量が豊富になってしまうと消費しきる事ができず、それが価格低迷の原因になってしまいます。
需要と供給のバランス
野菜の価格が安くなることは一般消費者にとって魅力的に見えることでしょう。しかし一般家庭が野菜を消費するには限度があります。2019年冬は暖冬の影響で一般家庭の野菜消費量を上回る量の野菜が生産され、どんなに安く販売しても販売量に苦戦する小売業者が多いと言われています。
消費者の食生活の変化
食生活が変化したことも原因のひとつとして挙げられます。近年ではカット野菜など、食べやすいようにあらかじめ加工された野菜の需要が増えていると言われています。重量野菜であるキャベツを1玉買う家庭より、少し高くてもすでにカットされているキャベツを買う家庭のほうが増えつつあるようです。そのため、どんなに1玉の価格を安く展開しても、消費者の手が伸びにくくなったことが、重量野菜の価格乱高下の原因として考えられます。
輸入野菜の台頭
先で紹介したカット野菜需要にも大きく関わってくるのが輸入野菜の存在です。カット野菜の需要が高まりつつある中、重量野菜の価格はずっと低迷しているわけではありません。時に異常気象や天候不良により生育が悪くなり、高騰することもあります。そうなると、安定的にカット野菜を供給するのは難しくなってしまいますよね。そこで輸入野菜を仕入れる野菜加工業者が増えたと言われています。そのため、国産の重量野菜の需要がなくなりつつあり、価格の乱高下につながっているのです。
人件費、輸送費の高騰
価格乱高下の原因は、野菜の生産・収穫状況や消費者の動向だけに限りません。収穫後、店頭に並ぶまでの間にかかる人件費や輸送費も、原因として挙げられます。
例えばキャベツの小売価格にかかる輸送費の割合は約8%だと言われています。輸送には軽油で走るトラックが用いられることが大半ですが、その軽油価格は年々上昇傾向にあります。約8%を占める輸送費、そこで用いられる軽油価格が上昇すると、輸送費も必然的に上昇するでしょう。
人件費も同様です。あらゆる業界で人手不足が問題視されています。農業界も例外ではありません。
まとめ
価格が乱高下する理由は1つではありません。さまざまな原因が合わさって、野菜の価格に影響します。特に2019年冬は重量野菜がその影響を大きく受けました。考えられるさまざまな原因をどのように解消していくかが、農業界、今後の課題となることでしょう。
参考文献