田畑が大雨に見舞われた時にすべき行動とは

田畑が大雨に見舞われた時にすべき行動とは

田畑が大雨に見舞われた時にすべき行動とは│画像1

2018年7月に発生した西日本豪雨は、人的被害に限らずさまざまなものに悪影響を及ぼしました。
天候不良による農業被害の拡大は、6月下旬に降り始めた雨から7月の集中豪雨までの間に大きく広がっています。本記事で着目するのは、大雨に見舞われたときに発生する農業被害についてです。田畑が大雨に見舞われたとき、私たちがすべき行動とはなんでしょうか。

 

見回り厳禁!自分の命を最優先に

まずお伝えしたいのは、「自分の命を最優先に考える」ということです。毎年のように、大雨が降る中、田畑や農業用水路の見回りに出向き、転落や水に飲まれて死亡する事故が多発しています。自分の田畑の状態が気になり不安になる気持ちも分かりますが、自らが災害に巻き込まれ命を落としては、農業を続けることはできません。大雨に見舞われたときは「見回り厳禁」を心がけましょう。

ある農家さんは、高齢の農家さんの代わりに雨の中田畑の様子を見に行きました。
視界が悪く、雨で滑りやすくなった道を歩いて行くと、雨の中別の高齢農家さんが田んぼに向かう姿を見たと言います。
どんなに「見回り厳禁」を心がけていても、農家にとって田畑は大切な財産そのものです。そのため外に出てしまう農家さんも少なくありません。が、現に毎年のように農家が命を落とす事故は発生しているのです。「見回り厳禁」かつ、天候変化に対して事前に準備を行うことが重要だと言えます。

 

大雨に対する予防の大切さ

気象庁は「豪雨の最中は田畑や河川に近づかないでほしい」と注意を促し続けています。Twitterでも、西日本で起きた集中豪雨の際「突如として崖が崩れる危険性」について動画を通じて発信した人がいます。この動画では、一見何の変哲もない増水した河川が突如として崩れる様子が鮮明に映っています。

自然災害の怖いところは「何が起こるか分からない」ところにあります。
大雨の最中に出歩かないよう注意喚起がなされているわけですから、天気予報を参考に、農業用水路の門を開閉することで田畑への流入を防ぐことなど、事前準備が重要です。気象庁ではスーパーコンピュータを活用し、雨量予測の期間を「6時間先」から「15時間先」まで延長しています。頻発する大型台風にも配慮して、台風進路に関する情報も明確になってきました。予報はあくまでも予報ですから、確かに外れることもあります。でも十分注意をして、農作物を守りつつ、自分も命を落とすことがないよう心がけていかなければなりません。

 

大雨に見舞われた後の、田畑の整備

田畑が大雨に見舞われた時にすべき行動とは│画像2

大雨に見舞われた後の対処法についても紹介します。大雨に見舞われた直後、一番の被害は「浸水」なのではないでしょうか。ここでも人命が最優先ですが、水がひいたら以下の対応を行いましょう。

<田畑の管理>
・浸水してしまった田畑は、流れてきたゴミなどを除去しつつ、排水に努める
・浸水により病害虫の発生が生じた田畑では、必要に応じた薬剤散布を行う
・マルチがめくれ上がっている場合には、めくったままにして乾燥させる
・浸水により肥料が流れている可能性がある場合には、速効性の肥料を施し、農作物の回復を図る

<農作物の管理>
・生育中の農作物は、排水後新鮮な水を浅く入れ替えることで、根の回復を図る
・成熟した農作物が被害を受けた場合は早急に刈り取る。品質が低下しないよう、適切な乾燥を行う
・痛んでおり、すでに生育不良が見込まれる若い芽や幼果は早めに取り除く
・回復が見込めない場合には、代替作物の選定をおこない、植え替える

<農業機械の管理>
・エンジンは始動させない
・ゴミや水気を取り除く。その際、エンジンオイルや燃料は抜き取り、二次災害を未然に防ぐ
・機材を再び動かす場合には、水気取りや機材の交換を行った後、少量の燃料で徐々に始動させる
・異音確認は怠らない

 

大雨に見舞われる前にすべき、田畑の防災

また田畑を災害から守るためには、大雨に見舞われる前にチェックすべき項目があります。例えば「ため池や排水施設の整備」です。大雨による決壊や崩壊が起きなければ、田畑を守ることはできるでしょう。これらの整備を定期的に行うことが、防災につながります。またこれらの整備は、地域によっては地すべりの防止にもつながります。

近年、集中豪雨や台風などの情報は、さまざまな媒体で確認することができます。
農地の大きさによっては対策に手が回らないというのも事実です。ただあらかじめ考えられる自然災害への対策を練っておけば、豪雨警報や台風接近の直前に慌てて対策を練る…という必要もなくなりますよね。被害規模が年々大きくなっているように感じるのも事実ですが、襲来時期はだいたい同じです。ということは、年間計画の中に組み込んでおけば、対策も自然に行えるのではないでしょうか。近年の異常気象に対抗すべく、種や苗の品種改良も積極的に行われています。戦略的に品種改良種を活用する農家さんも少なくありません。

冒頭でも述べましたが、田畑が大雨に見舞われた時、まずは「自分の命が最優先」です。そして大雨による悪影響を受けないためにも、事前に対策を練っておくことが、自分の命と命のように大切な田畑を守る有効な手段だと考えています。年々精度が高くなっている気象情報を積極的に活用し、対策を練りましょう!

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