昨今、6次産業が注目を集めています。6次産業とは造語で、農業などの第一次産業が食品加工や流通、販売も展開する経営形態のことを示しています。生産者自身が加工や流通を担うという点には、生産以外の労力がかかるというデメリットもありますが、採れすぎた野菜や規格外の野菜を自分たちの手で販売することができるので、生産しても無駄がないと捉えることもできます。そこで本記事では、6次産業化に興味・関心の高い農業従事者におすすめしたい野菜ネット販売を紹介していきます。
ネット販売の利点
野菜のネット販売にはどのような利点があるのでしょうか。ネット販売の利点を簡潔にまとめてみると以下のようになります。
- 気軽に始められる
- 作った野菜の余剰分を捨てる必要がなくなる
- 育てた野菜を高く、いい状態で売ることができる
- ホームページにより24時間集客することができる
ネット環境さえ整っていれば店舗をもつ必要がありません。なので気軽に販売を始めることができます。ホームページを開設してしまえば、オンライン上で24時間営業が可能となり、新たな顧客を獲得できる可能性がグッと高まります。
余剰野菜も販売対象に
規格外の野菜や低品質なもの、余剰野菜などを販売対象にすることができます。販売できずに廃棄されてしまうよりも、低価格であっても販売できたほうが生産者としては気分がいいのではないでしょうか。もちろん「訳あり品」として低価格で販売しすぎると、生産した農産物のブランド価値が下がることもあるので、正規品販売とのバランスを考えて売る必要はあるかもしれません。しかしネット販売には、廃棄されるだけだった野菜を販売できる可能性があるのです。
リピート購入が期待できる
ネット販売では”あなたの”お店から顧客が野菜を購入するため、顧客が「あなたの作った野菜が買いたい」とリピーターとしてやってきてくれる可能性が高まります。近年では、スーパーマーケットなどに販売されている農産物に、生産者の顔と名前が載っていることも多くなりました。しかしスーパーマーケットなどで買い物している顧客の全員が、野菜の購入を生産者で決めているわけではありません。ネット販売では”自分で”生産した野菜を売ることになります。その際、品質やこだわりを顧客に直に伝えることができます。そのメッセージに賛同した顧客はきっと、リピート購入をしてくれることでしょう。
農家さんのこだわりをアピールしやすい
先でも紹介しましたが、自分で生産したものを自分で販売することになるネット販売では、生産へのこだわりや農産物の味の良さなど、存分に顧客へアピールすることができます。そのため、こだわりをうまく伝えることができれば、高品質・高価格な農産物も販売しやすくなります。
ネット販売するための流れ
実際にネット販売する場合の流れを大まかに説明すると以下の通りになります。
- サーバーをレンタルする
- ネット販売ができるホームページを作成
- オンライン上でお店づくり
- インターネット検索で上位に表示されるようにする
ネット環境、そして「ホームページ」の存在がなければネット販売はできません。まずはホームページの基礎を構築して、そこからオンライン上のお店づくりを始めましょう。検索でホームページが上位に表示されるよう工夫を凝らすことも大切ですし、SNSなどを駆使して積極的に宣伝することも重要です。
が、はじめてネット販売に取り組む場合、1からオンラインショップを作るのは少々骨が折れる作業に感じるかもしれません。なので「野菜ネット販売サイトに出店する」という方法やホームページ作成を手伝ってくれるサービスの手を借りるのもおすすめです。
おすすめネットショップ「農家直売どっとこむ」
「野菜ネット販売サイトに出店する」という方法に興味がある場合には、「農家直売どっとこむ」がおすすめです。長野県を地盤にしたECサービス(「EC=Eコマース」:ネットを通じて行われるモノやサービス売買の総称)であり、ホームページ作成をサポートしてくれます。
おすすめネットショップ「MyFarmer」
「MyFarmer」は登録制のため、このサイトで出店したい場合には運営会社に問い合わせた後、審査を待つ必要があります。しかし消費者にとってはデザインが見やすく高級感があるサイトであり、付加価値の高い野菜が揃っているわけですから、魅力的なサイトと言えるでしょう。ブログやSNSとの連動も可能なので、販路拡大に適した部分も魅力のひとつです。
おすすめネットショップ「ポケットマルシェ」
生産者は野菜を出品するだけという簡単な販売方法が魅力的な「ポケットマルシェ」。スマホアプリによって消費者と農家がつながる仕組みが構築されています。余剰野菜や規格外の野菜をネットで販売してみたい人におすすめのネットショップです。
メルカリの活用も!?
昨今フリマアプリ「メルカリ」を使った農産物販売も注目されています。若い世代や主婦に人気のアプリですから、新規顧客を狙うにはいいかもしれませんね。もちろん保健所許可や営業許可のない加工品の出品は不可ですが、気軽にネット販売を始めてみたいなら視野に入れてみてもいいのではないでしょうか。
ネット販売するときの注意点
気軽にお店を開くことができるネット販売ですが、生業として成り立たせるためには1つ注意点があります。
それは販路の選び方です。
ネット販売は簡単に始めることができますが、生産者と顧客が直接つながる分、顧客のニーズに合わせた販路を考えなければ買ってもらうことができません。わかりやすい例で言えば、百貨店とスーパーマーケットがあります。百貨店では、価格が多少高くても品質がよければ購入してもらうことができます。しかし百貨店でウケる商品を安売りが自慢のスーパーマーケットで販売しては一向に売れないはずです。安売りが自慢のスーパーマーケットのウリは「安さ」です。このように顧客に合わせた販路を考えないと、一向に商品が動かないこともしばしばです。
もし自身が生産した農産物にこだわりがあるのであれば、それが伝わるような相手に向けて販売することを心がけましょう。
参考文献
1,知識ゼロから始める農家さんの野菜ネット販売
2,私の作った野菜、ネットで売れる?ネット販売に適した農産物とは 農ログ
3,ネットショップで野菜を販売する際に、覚えておきたいサービス3選 農業メディアGROWRICCI
4,次に儲かる直販はコレ。話題沸騰の「メルカリ」で野菜が売れる!? AGRI JOURNAL