ウィズコロナ時代はインターネット販売がビジネスチャンスになる!?【後編】

ウィズコロナ時代はインターネット販売がビジネスチャンスになる!?【後編】

インターネット販売への取り組みの現状やインターネット販売の売れ筋キーワードを紹介している【前編】はこちらから。

後編では、インターネット販売で商品を売るコツについてご紹介していきます。

 

 

価格設定は?どんな商品を販売する?

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インターネット販売では送料がかかることも視野に入れなければなりません。だからといって、販売する野菜にただ送料をプラスすればいい、というわけでもありません。特に産直アプリなどを用いて販売する場合には、アプリユーザーの大半が一般消費者であることも考慮しなければなりません。

なお、日本政策金融公庫が2016年に実施したインターネット直販に関する消費者調査には、ネットで購入したものの半数近くが米(48.9%)と果物(42.8%)でした。理由としては、これらの単価が比較的高いこと、ネットでしか購入できない商品も多いことなどが挙げられます。一方で、野菜を購入したことのある消費者は3割に留まりました。

野菜のインターネット販売では、消費者に「送料を払っても買ってみたい」と思わせる必要があります。野菜のインターネット販売において、一般的に売れているのは野菜や果物を組み合わせた「セット販売」で、平均価格は2,300円前後(送料を除く)だと言われています。

もちろん「セット販売するから売れる」「2,300円前後だから売れる」のではなく、次項で紹介する工夫や、消費者に対して商品の価値やこだわりを伝える努力をすることで「売れる商品」につながります。

また2021年2月に刊行された『農業ビジネス ベジ 2021 Vol.32 冬号』に掲載されている、業務用仲卸の株式会社つま正(以下「つま正」)の販売事例、インターネット販売ではなく、ドライブスルー方式の対面販売ですが、参考になります。ターゲット層が飲食店から一般消費者になったため、野菜セットの主体は普段使いしやすい一般野菜とし、そこに1〜2割、業務用の特殊な野菜を組み合わせています。価格は税込3,500円(野菜18種類と卵)と税込5,000円(野菜18種類と卵+米5kg)と、先で紹介した「2,300円前後」より高価ですが、種類の豊富さや特殊な野菜の珍しさ、卵や米などとの組み合わせにより、価値を生み出しているのではないかと考えます。

 

 

インターネット販売には必須な商品説明、そのコツ

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価格設定や商品内容の設定も重要ですが、インターネット販売特有の作業にも「売れるコツ」があります。それが「商品説明」です。インターネット上で消費者に「買いたい」と思わせるためには、写真や文章で商品の魅力を上手に伝える必要があります。

ただし重要なのは、写真を加工したり、キャッチーな文章を作りあげたりして、実物以上においしそうに見せることではなく、自身の商品へのこだわりや大切にしていることを誠実に伝えることです。

とはいえ、最低限必要な情報については、欠かさず記載するようにします。例えば……

  1. 商品の特長
  2. 商品内容と量
  3. 生産または栽培方法
  4. 配送方法

1.は品種の特長などを指します。また2.を記載する際は「〜kg」だけ書くよりも、その商品の個数も加えて書くと消費者に伝わりやすくなります(例:△△5kg(20〜23個程度))。有機JASなど第三者認証を取得している場合には3.に記載します。4.では運送会社を明記したり、常温なのか冷蔵なのかなどを記載します。

これらに、味の特徴やおすすめの食べ方、保存方法を加えると、より消費者に商品の情報が伝わります。

上記2.の説明にもありますが、「消費者に伝わりやすい」文章がポイントです。商品紹介文に「〇〇産の野菜」と書かれているのを目にしたことがある人は少なくないはずです。でもなぜ〇〇産がいいのか、〇〇産だと美味しいのか、ということは、その地域以外の人には伝わりにくいことがあります。ですから、その土地の特徴やその土地で育つとどのように味が良くなるのかなど、初めてその野菜を知った人にもわかるように噛み砕いて伝えることを意識してください。

そして、インターネット上に掲載する写真について。商品写真はプロっぽい写真である必要はありません。もちろん、薄暗い場所で撮ったり手ブレしていたりするのは、お客様に商品の良さが伝わらないので避けるべきですが、見栄えをよくすることよりも、商品の魅力を正直に伝えることを大事にしてください。

 

 

「売れる」ためにやっておきたい一手間とは

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テレビ番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)で2021年5月13日に放送された回で産地直送ネット通販サイト「食べチョク」が紹介されていました。「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンの創業者であり代表取締役社長の秋元里奈氏は、番組内でも、また2021年2月25日に刊行された『農業ビジネス ベジ 2021 Vol.32 冬号』でも、売れ続けるためのコツとして、商品を送るための段ボールに手書きでメッセージを残すといった「ちょっとした一手間」をおすすめしています。この手書きメッセージはみっちり書く必要はなく、「ありがとう」の一言でもよいでしょう(もちろんみっちり書いてもOKですが)。

何にしても、インターネット販売では商品の魅力や自身のこだわりを誠実に伝えることが重要です。また、こだわりの商品をベストな状態でお客様に届けるために梱包などへの工夫も意識していきましょう。

 

参考文献

『農業ビジネス ベジ 2021 Vol.32 冬号』(2021年2月25日、イカロス出版)

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