昨今、直売所や飲食店などをターゲットに「売れる」と予想、注目されている野菜とは。

昨今、直売所や飲食店などをターゲットに「売れる」と予想、注目されている野菜とは。

人々のライフスタイルは時代とともに変わっていきます。特に、コロナ禍でのライフスタイルの変化は、これまで人々のライフスタイルの変化にあまり敏感ではなかった人にも顕著に感じられるものだったのではないでしょうか。

ライフスタイルが変われば、野菜の売り方も大きく変化します。例えばコロナ禍では、レストランや居酒屋などの飲食業へ休業要請が出たこともあり、家庭内の消費が伸びました。調理の手間がかからないカット野菜や水煮の需要は高まっていますし、この状況下からか「体にいい」「免疫力をあげる」などのキーワードで謳われる野菜にも注目が集まっています。

そして上記で挙げたような野菜以外にも、「売れる」と予想される野菜はあります。そこで本記事では、昨今「売れる」と注目されている野菜、飲食店をターゲットに見据えた時に「売れる」と予想される野菜、農園体験ツアーなど消費者と直接関わる機会に、消費者の心を掴むであろう野菜について紹介していきます。

 

 

「売れる」と注目される野菜、Instagramの影響か

昨今、直売所や飲食店などをターゲットに「売れる」と予想、注目されている野菜とは。|画像1

 

2021年2月25日に刊行された『農業ビジネス ベジ 2021 Vol.32 冬号』の特集「売れる野菜2021」の中から、共通項のある野菜をいくつかピックアップしていきます。

まずご紹介するのは

  • 多品種ラディッシュ
  • ヤングコーン
  • 白、オレンジ、紫のカリフラワー
  • ミニカボチャ

です。

これらは本誌で、福島県郡山市「鈴木農場/伊東種苗店」の3代目、鈴木光一氏の長男・鈴木智哉氏(以下、鈴木氏)が「直売所で(売り上げが)伸びている野菜」として紹介したものの一部です。鈴木氏は直売所での販売のほか、地元や東京で開催されるマルシェへ出店したり、Instagramでの告知を行ったりと、精力的な販売活動をしています。

上記で挙げた野菜は鮮やかな色や見た目が目を引きます。

多品種ラディッシュはそのまま食べられることと、さまざまな色のラディッシュがマルシェや直売所で映えることから、「セット販売すると一般消費者が買いやすくなる」とありました。定番の品種は

  • ニューコメット(赤色)
  • ルビーコメット(紫色)
  • リンダホワイト(白色)

です。紅白のグラデーションが特徴の「フレンチ・ブレックファスト」も近年、消費者が目にする機会が増えたような気がします。

カリフラワーも、その豊かなカラーバリエーションで注目を集めています。オレンジ色のカリフラワーはゆでるとより色が鮮やかになる※ので、直売所やマルシェ、オンライン上など、消費者と直接やりとりする際には、ゆでたオレンジ色のカリフラワーを使ったサラダのレシピやその写真などを公開すると、消費者の心をよりひきつけられるのではと考えます。

※紫色のカリフラワーは加熱すると、品種によって色が変化します。「パープルフラワー」は紫色が残りますが、「バイオレットクイン」は緑色になります。そのような変化やそれぞれの食感、食味について消費者に伝えることは、直接販売する際にとても重要です。野菜の品種だけでなく、販売方法や販売する際の工夫も合わせて考えると、より「売れる」につながります。

ヤングコーンは、メディアやSNSでも話題の野菜です。ヤングコーンは、通常のトウモロコシでは可食部位として見られていない「ひげ」の部分が甘くておいしく、それが口コミで広がっていると言われています。レンジで調理したり、オーブンで焼いたりとさまざまな調理方法で楽しめることも、消費者の関心が向き続ける理由の一つでしょう。

ミニカボチャはてのひらサイズの可愛らしさもさることながら、小ぶりのため使い切りやすく、電子レンジで3〜5分加熱すれば丸ごと食べられる手軽さがあります。

 

 

飲食店向けは、一般消費者向けよりクセ強めが◯!?

昨今、直売所や飲食店などをターゲットに「売れる」と予想、注目されている野菜とは。|画像2

 

直売所では先で紹介したような、カラフルなものや特徴的なサイズのもののような、「普段買う野菜とちょっと違う」ものが売れるようですが、飲食店の場合は、それよりもさらに進んで「これまでにない」ものを求めるようです。

それはおそらく、消費者が外食に求めるものが関係していると思われます。

株式会社リクルートが提供する飲食店の検索・予約サービス「​ホットペッパーグルメ」。そのホットペッパーグルメが運営する、外食市場の調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は2019年2月、首都圏・関西圏・東海圏在住の20~69歳の男女9,607人に「外食に求める期待と予算について」アンケートを実施しています。

外食で「お腹を満たす」以外で期待していることの結果1〜5位は、

  1. 料理する手間を省く(58.3%)
  2. 非日常感やレジャー性を楽しむ(49.2%)
  3. 食事相手やお店のスタッフなどとのコミュニケーションや会話(48.4%)
  4. 同行者の満足感(46.2%)
  5. 身体への効能やストレス解消などの効果を得る(33.5%)

で、2位の“非日常感やレジャー性を楽しむ”は、女性20〜50代で高いスコアであることが注目されています。

またレジャー性を感じる外食内容についての問いは、1〜3位が

  1. 料理が豪華である(60.5%)
  2. 旬の素材を使っていること(46.7%)
  3. 食べ放題や飲み放題(33.7%)

ですが、以降に「売れる」野菜のヒントとなる回答が挙げられています。

  • デザート・甘いものを食べること(32.4%)
  • 高級な素材を使っていること(30.4%)
  • 特定地域の素材を使っていること(27.4%)
  • 希少な素材を使っていること(22.1%)
  • その他(2.4%)

料理の豪華さや旬の素材を使っていることに比べると割合は低いですが、「高級素材」「特定地域の素材」「希少な素材」は外食ならではの価値観なのではないでしょうか。

洋食店などのレストランには、調理しても野菜の形がそのまま残る、そんな小さなサイズの野菜に需要があるようで、「ベビーキャロット」や「パープルクララ」(小型のナスで紫色の外皮に白いストライプが入った見た目が特徴)などが挙げられます。

それから、近年認知度が高まっているのが「エディブルフラワー」です。料理に彩りを添える「食べられる」花は引き続き、「売れる」食材として注目されることが考えられます。そのうち、飲食店向けの食材としてごく当たり前のものと認知されるかもしれません。

 

 

「インパクトのある」ものもおすすめ

昨今、直売所や飲食店などをターゲットに「売れる」と予想、注目されている野菜とは。|画像3

 

「インパクトのある」ものは、消費者と直接やりとりできる直売やマルシェ、農園体験などで、消費者の関心を引くことができるのでおすすめです。

「名前は知っているけど、どんな植物なのかは知らない」という消費者の関心を引き出すのにおすすめなのはハーブ。例えばレモングラスは、地味なビジュアルと爽やかな香りのギャップで消費者を驚かすことができます。天然の甘味料ステビアもまた、雑草のようなビジュアルをしていますが、葉をかじると砂糖の300倍といわれる甘さが口に広がるので、驚かれること間違いなしです。

実際に育っている姿を消費者に見せる機会があるのであれば、芽キャベツやヘビウリなど、料理に出される見た目とは異なるビジュアルの野菜もおすすめです。

 

参考文献

  1. 『農業ビジネス 2021 vol.32冬号』(2021年2月25日、イカロス出版)
  2. カリフラワー
  3. 外食は食費?レジャー費?外食の「レジャー性」への期待と予算を調査|ホットペッパーグルメ外食総研

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