今さら聞けない「認定新規就農者」。認定新規就農者になることで得られる利点とは

今さら聞けない「認定新規就農者」。認定新規就農者になることで得られる利点とは

新規就農に必要なものとして

  • 資金
  • 技術
  • 農地
  • 設備
  • 販路

の5つが挙げられます。

このうち、資金面の計画に不安を覚える人は少なくないはずです。資金面での不安を軽減するのに支援制度の活用が役に立ちます。さまざまな支援を受けるために必要な制度に「認定新規就農者」があります。

本記事では「認定新規就農者」になると得られる利点、認定新規就農者になるための手続きの流れなどについてご紹介していきます。

 

 

認定新規就農者とは

今さら聞けない「認定新規就農者」。認定新規就農者になることで得られる利点とは|画像1

 

認定新規就農者とは、区市町村から農業経営基盤強化促進法第14条の4に規定する青年等就農計画の認定を受けた農業者をいいます。認定新規就農者になると、青年等就農資金を借り入れることができたり、青年就農給付金を受給することができます。

引用元:認定新規就農者|農林水産

認定新規就農者になると、さまざまな支援や優遇制度を受けられるようになります。

認定新規就農者の対象

新たに農業経営を営もうとする青年等で

  1. 青年(原則18歳以上45歳未満)
  2. 特定の知識・技能を有する中高年者(65歳未満) 
  3. 上記の者が役員の過半数を占める法人

に該当する人が対象となります。

就農開始から5年以内の場合に限られます。

そして、既に「認定農業者」である場合は認定新規就農者の対象になりません。

認定農業者と認定新規就農者の違い

認定農業者は農業経営の改善をめざす既存の農家を支援する制度です。

農業にやる気と意欲があり、職業として農業に取組んでいる農業者や農業法人、あるいはこれから農業経営を営もうとする者を市町村が認定し、関係機関・団体が重点的に支援措置を講じようという制度です。平成5年に制定された「農業経営基盤強化促進法」で創設されました。

引用元:認定農業者ってなに?

認定農業者は新規就農者を対象にしたものではなく、対象者が広いのが特徴です。男性、女性の別は一切問わず、農業経営を営む法人なども対象となります。また共同経営を行う夫婦や、兼業農家や新規就農をめざす非農家、農地を持たない畜産や施設園芸なども対象です。

認定新規就農者の手続きの流れ

認定新規就農者になるまでの流れを以下に記します。

  1. 「青年等就農計画」を市町村窓口に提出する
  2. 審査および計画の内容が適切かどうか判断が下される
  3. 計画が適切であると判断されると通知書が手元に届き、認定新規就農者となる

「青年等就農計画」は農業経営に関する目的や必要な施設・機械などについてまとめたものです。申請書式は農林水産省のホームページからダウンロードできます。記入する前に、生産する農産物の種類や就農地の面積、予定される農産物の生産量、農業機械や施設にかかるとされる費用など具体的な内容、数字をまとめておきましょう。

農林水産省のホームページには、青年等就農計画の記入イメージが掲載されています。

(記入イメージ) 青年等就農計画認定申請書

参考にしてみてください。

 

 

認定新規就農者になると受けられる支援制度

今さら聞けない「認定新規就農者」。認定新規就農者になることで得られる利点とは|画像2

 

認定新規就農者になると受けられる主な制度には

  • 農業次世代人材投資資金(経営開始資金)の交付
  • 青年等就農資金(無利子融資)の貸付け

が挙げられます。

農業次世代人材投資資金(経営開始資金)

2022年度に制度が大幅に組み替えられました。

農業次世代人材投資資金には就農準備資金・経営開始資金があり、“次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(2年以内)及び就農直後の経営確立を支援する資金(3年以内)を交付(引用元:就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金):農林水産省)”するものです。

経営開始資金は、対象となる新規就農者に対し、農業経営を始めてから経営が安定するまでの最大3年間、月12.5万円が定額交付されます(2022年度以前との違いは期間で、2022年度以前は最長5年間でした)。

対象者は以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 独立・自営就農時の年齢が原則49歳以下の認定新規就農者
  • 独立・自営就農である
  • 青年等就農計画等が、独立・自営就農5年後に農業(直接販売、加工品製造、農家レストラン、農泊等含む)で生計が成り立つ実現可能な計画である
  • 人・農地プランへの位置づけ等※
  • 生活保護など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給していない
  • 原則として1000年の世帯(親子および配偶者の範囲)所得が600万円以下である

市町村が作成する 人・農地プラン (東日本大震災の津波被災市町村が作成する経営再開マスタープランを含む)に中心となる経営体として位置付けられていること(もしくは位置付けられることが確実であること)または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること

引用元:就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金):農林水産省

前年の世帯所得が600万円を超えた場合、市町村が、青年就農計画等を実行するために必要な作業を怠るなど適切な就農を行っていないと判断した場合には「交付停止」となり、交付期間終了後、交付期間と同期間以上営農を継続しなかった場合には「返還」の対象となります。

青年等就農資金(無利子融資)

対象者は認定新規就農者です。

営農に必要な機械・施設の設備などに必要な資金を無利子で借りることができます。上限は3700万円(特別の場合に限り1億円)で償還期間は17年以内です。

青年等就農資金

農業経営基盤強化準備金制度の利用など

認定新規就農者になると受けられる制度には他に

  • 農業経営基盤強化準備金制度の利用
  • 強い農業・担い手づくり総合支援交付金
  • 経営所得安定対策(ゲタ対策・ナラシ対策)への加入

が挙げられます。

下記に公式サイトのリンクを貼ってあるので、気になる方はぜひご覧ください。

農業経営基盤強化準備金制度とは

農業者が、経営所得安定対策等の交付金を農業経営改善計画などに従い、農業経営基盤強化準備金として積み立てた場合、この積立額を個人は必要経費に、法人は損金に算入でき、さらに、農業経営改善計画などに従い、積み立てた準備金を取り崩したり、受領した交付金をそのまま用いて、農用地、農業用の建物・機械等を取得した場合、圧縮記帳できる税制上の特例です。

引用元:農業経営基盤強化準備金:農林水産省

青色申告により確定申告を行う認定農業者、認定新規就農者が対象です。

農業経営基盤強化準備金制度

強い農業・担い手づくり総合支援交付金とは

金融機関からの融資を活用して農業用機械などを取得する場合、取得経費から融資等の額を引いた自己負担額について助成してもらえる制度

引用元:Soil mag.編集部『ONE PUBLISHING MOOK Soil mag. ソイルマグ Vol.1』 72ページ(ワン・パブリッシング、2021年)

です。

令和3年度 強い農業・担い手づくり総合支援交付金

また認定農業者、認定新規就農者、集落営農は、経営所得安定対策(ゲタ対策・ナラシ対策)の交付対象者です。

経営所得安定対策のゲタ対策・ナラシ対策とは

諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正する交付金(ゲタ対策)
農業者の拠出を前提とした農業経営のセーフティネット対策(ナラシ対策)

引用元:経営所得安定対策:農林水産省

のことを指します。

所 営 経 得 安 定 対 策 等 の 概 要

 

参考文献

  1. Soil mag.編集部『ONE PUBLISHING MOOK Soil mag. ソイルマグ Vol.1』 (ワン・パブリッシング、2021年)
  2. 認定新規就農者|農林水産
  3. 認定新規就農者制度について知りたい
  4. 認定農業者制度・認定新規就農者制度|八王子市公式ホームページ
  5. 認定農業者・認定新規就農者制度 Q&A
  6. 新規就農者に認定されるために | 農家・農業求人サイト【あぐりナビ】
  7. 認定農業者ってなに?
  8. 青年等就農計画制度について:農林水産省
  9. 就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金):農林水産省
  10. かしこく有効活用!農業経営基盤強化準備金制度の仕組み
  11. 経営所得安定対策:農林水産省

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