少ない種類の農産物を大量生産することが農業の主流とされています。しかし昨今、多くの品目、品種を少量ずつ作り販売する方法が注目を集めています。注目を集めている栽培方法で儲かる農家になれるのか、その疑問について本記事では紹介していきます。
大規模生産特有のデメリット
「少ない種類の農産物を大量生産する」大規模生産には特有のデメリットがあります。同じものを大量生産することで効率化をはかることはできますが、
- 差別化がしにくい
- こだわりがつくりにくい
- 量産によって価格が下がる
などのデメリットが挙げられます。特に価格面に関しては、大量生産によって相場が下がることが考えられます。
少量多品種栽培で儲かる理由
先に申し上げておくと、少量多品種栽培だから儲かるわけではありません。少量多品種栽培の特徴をうまく活用することで儲かる農業への可能性が広がります。
少量多品種栽培は、大規模生産特有のデメリットをカバーするだけでなく、消費者や販路について工夫を凝らすことでマーケットが広がるところに魅力があります。
少ない種類の農産物を栽培する場合、年間でその野菜の旬の時期というのは限られてしまいます。しかし多品目・多品種育てることで、年間で何かしらの野菜の旬の時期がめぐってくることになります。また多品目・多品種育てれば、気候変動や環境変化による農産物への影響を分散させることができるので、台風被害を受けやすい野菜を出荷できなくても、台風被害を受けにくい野菜を代わりに出荷することができます。
それから、少量多品種栽培で儲かるためには、栽培した野菜をブランド化、販路の差別化も重要です。儲かる農業のポイントのひとつに「顧客を明確にすること」が挙げられます。購入する相手(ターゲット)を決めることで、どのような農産物が的確かが見えてくるものです。少量多品種栽培にすれば、ある農産物でターゲット選定をミスしたとしても他の農産物でカバーできるというメリットがあります。が、少量多品種であってもターゲットの明確化は必須です。
こんな多品種栽培の方法も
多品種栽培は、市場ニーズに細やかに対応できるという点でも注目されています。そこでコストも抑えた多品種栽培の方法として「植物工場」という形態にも注目が集まっています。植物工場の場合、温度や湿度、CO2濃度や光量なども人工的に制御できるため、より効率的に野菜を生産することができます。工場化せずとも、近年では「スマート農業」がごく当たり前のように浸透しつつあります。環境制御装置やスマートフォンやタブレットで管理できるシステムなどが活用できれば、人件費削減や労働の省力化にもつながります。また栽培管理が効率化できれば、その空いた時間を他の農産物生産に割いたり、営業計画をたてることに使うことができます。
少量多品種栽培は、消費者のニーズに合ったものを要望される量だけ生産することで利益を得ることができるでしょう。しかし先述した通り、少量多品種栽培だから儲かるわけではありません。少量多品種栽培のメリットをうまく活用し、消費者のニーズ、それに見合った販路を見いだすことで儲かる農業への可能性が広がるのです。
参考文献
1,大規模生産には共通した欠点がある!それも世界共通とはどういうこと…?
2,多品目少量栽培が強い理由 成功農家が教える栽培と販売のコツ マイナビ農業
3,共通点があった!儲かる農業の特徴 あぐりナビ
4,多品種栽培が可能な最新「コンテナ植物工場」に注目! AGRI JOURNAL