働き手不足、売上アップにつながるか。農業シェアリングサービスについて

働き手不足、売上アップにつながるか。農業シェアリングサービスについて

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農業従事者の高齢化や後継者不足によるさまざまな影響が農業全体の課題となっています。
農業従事者の減少だけでなく、彼らが農業を行えなくなることによる耕作放棄地の増加も、課題のひとつです。ポジティブな話題として、農業への新規参入者、若年層の増加が耳に入ってきますが、社会全体の課題である「人口減少」が解決しているわけではないため、農業従事者の数が増加することはあまり期待できません。

近年、「シェアリングエコノミー」と呼ばれる新しいサービスにより、あらゆるものを「シェア(共有)」する考え方が浸透しつつあります。
このシェアの考え方が、農業の働き手不足や売上アップにつながることが期待されています。

 

農業とシェアリングエコノミーのつながり

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「シェアリングエコノミー」とは、主にインターネットを介して、個人間でモノなどを貸し借りするサービスを指します。貸し借りするものの種類は広く、時間や場所、技術などを共有することができます。

「シェアリング農業」という考え方が今後発展していくことが期待されます。
2017年8月、東レ建設、国際電気通信基礎技術研究所などが「シェアリング農業」の実証実験を始めると発表しました。
目的は高齢者や農業初心者が農作業を始めやすくするためです。ここではIoT技術を活用します。

・重労働の軽減→体の負担を少なくする
・栽培データ等を蓄積→農業初心者が農業に取り組みやすくする
などの効果が期待できます。

実証実験では、スマートフォンを利用し、希望の収穫物に関するデータ(作業の種類・日時など)を専用システムに登録することで、実証参加者に連絡がいくようになっています。また、水や液体肥料などは自動で撒かれるよう設定されているため、特別な知識や技術を必要としません。
さまざまな人が、空いた時間に農作業ができるよう工夫されています。この実験での報酬は収穫した農産物ですが、今後育てた野菜の販売収益や農業資材などの販売が発展すれば、誰もが農業従事者になれる時代がやってくるかもしれませんね。

 

売上アップにもつながるメリットとは

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また農場そのものをシェアする動きも注目されています。これらの事例は、農業の新たな収入源の獲得にもつながります。

例えば「FARMFES(ファームフェス)」というサービスは、自分の所有する畑の一区画を消費者とシェアするサービスです。
消費者はある一区画を自分のものとして契約します。農作物の栽培は農家が行いますが、収穫物は契約した消費者にだけ届くシステムです。契約がそのまま農作物の販売につながるため、消費されるまでの流れが目に見えやすいのが特徴的ですね。
このサービスを「プレゼント」として利用する消費者も多いと聞きます。農業従事者にとって「農作物を育てる→販売する」という流れはごく当たり前のことですが、農業に関わったことのない一般消費者にとっては非日常的なものです。それを汲み取って「シェア」することで、このサービスを新たな収益源にできるのです。

株式会社アグリメディアが2016年9月から始めている「里山シェア」もそんなサービスのひとつ。畑だけでなく、田んぼや果樹などを1年契約することができます。普段の栽培はスタッフが行いますが、契約した消費者は好きなタイミングでそこへ訪れ、さまざまな体験をすることができます。「里山シェア」は神奈川県による「かながわ県西地域活性化プロジェクト」の一環であり、地域振興にもつながっている点が注目されています。

 

農家同士で人材シェアを行う

「シェアリングエコノミー」でシェアされるものはモノや場所だけではありません。
人材そのものもシェアすることができます。
COOL AGRI」はユニークなシェアを行なっています。それは農園間で作業をシェアするというもの。

「COOL AGRI」に所属するメンバーは多種多様な農作物を生産しており、そのため人によって農繁期と農閑期がバラバラです。農繁期と農閑期が異なる点をうまく活用し、人材シェアを行なっているのです。派遣元の農園が労働条件を整え、雇用契約を決めており、賃金や労働環境などの問題が発生しないよう管理されています。

もちろん人材シェアは「COOL AGRI」だけでなく、さまざまな派遣会社が農業に進出し始めています。かつての農業では、農繁期にアルバイトなどの人材を雇うこともありました。しかし農業に限ったことではありませんが、昨今は通年人材不足です。大手派遣会社や「新規就農相談センター」では、人手不足を解消すべく、農業人材を募集しています。
特に「新規就農相談センター」は、農業に関する専門知識も養えるため、農家・就農者ともにメリットがある人材シェアだと考えられます。

新規参入者が増加傾向にあるとはいえ、農業従事者の減少を簡単に止められるわけではない昨今。だからこそ「シェア」という新しい考え方が、農業に兆しを与えてくれたのでしょう。今後も発展していくことが考えられる「シェアリングエコノミー」、農業分野での更なる発展が期待されます。

 

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