日本の農業は就農者の高齢化による後継者不足や耕作放棄地などの課題を抱えているものの、新規就農者や若い世代の営農は増加傾向にあると言われています。
そこで本記事では若い就農者や精力的な就農者に向けて、儲かる農業のポイントについて紹介していきます。農業は生業ですから、ビジネスとしての視点は必要不可欠です。ビジネス視点をもって、農業に取り組んでいきましょう!
儲かる農業にはビジネス視点が重要
農業を営む際、「生産」過程に目がいくこと自体は決して間違いではありません。ただし農業経営の視点をかかすことのないよう注意しましょう。
- 出荷量の計算
- 流通の流れ
- 販売計画の立案
- 生産効率の向上
- 生産費用の削減
- 農業機械・資材への投資
- 農業用施設建設のシミュレーション
など、考えるべきことはさまざまです。
利益を得ること、農業経営を続けていくことを考えるのであれば、ビジネス視点を欠くことはできないのです。
農家の収入割合とは
ここでは農家の収入割合について紹介します。農家の収入は「専業農家」か「兼業農家」によって異なります。”専業”の場合、農業以外には収入がありません。”兼業”の場合、農業以外にも収入源があり、日本の農家の大半が「兼業農家」だと言われています。
農林水産省が公表している「農業センサス」では、専業・兼業全てを含めた農家についてデータをまとめています。2015年のデータでは、
- 日本国内の総農家数 215万5000戸
- 農産物を販売していない農家 82万6000戸
- 農産物を販売している農家 132万9000戸
とあります。ここから「農産物を販売している農家」の年間販売金額を見てみると、
- 500万円未満が112万5000戸(84.6%)
- 500万~1000万円未満は9万5000戸(7.1%)
- 1000万~3000万円未満は8万4000戸(6.3%)
- 3000万~1億円未満が2万4000戸(1.8%)
- 1億円以上が2500戸(0.1%)
となり、年間販売金額500万円未満の農家が最多となっています。
なお露地栽培に限定されますが、収支を年度毎の推移で見てみると、
- 2005年 約427万円
- 2010年 約505万円
- 2011年 約493万円
- 2014年 約520万円
となっており、2011年には一時的に下がっているものの増加傾向にあることは分かります。もちろん農業の平均収入は販売する農作物の種類や生産地域によっても異なりますが。
儲かる農業のポイントまとめ
「農業センサス」によると、年間販売額500万円未満の農家が最多となっていました。
しかし露地栽培に限定されるデータとはいえ、収支は毎年増加傾向にあり、「スマート農業」や「6次産業化」の推進など、農業収益をあげる基盤は出来上がりつつあると言えるのではないでしょうか。そこで最後に、儲かる農業のポイントを紹介していきます。
目標設定
儲かる農業に取り組むために、具体的な目標設定を立てましょう。
農業を始めたばかりなのであれば「稼ぐ目標」ではなく「農業を継続するための目標」でも構いません。具体的な目標がすぐに思いつかない場合には、ざっくりとした目標設定を行い、それを深掘りしていきましょう。
農業がやりながら過ごしたい
→どんな場所で過ごしたいのか
→理想の暮らしができる場所はどこなのか
→農業で生計を立てるのか
→どのような農作物がその土地で育つのか
→どのような農作物を育てれば生計が立てられるのか
コスト削減
中規模、小規模の農家は労働力や生産にかかるコストを削減することを意識しましょう。農業にかかる費用には以下のものが挙げられます。
- 種・苗代
- 農薬代
- 肥料代
- 農業機械代
- 出荷資材代
- 物流費
- 販売委託料 など
これらをひとつずつ把握し、無駄がないか、コスト削減できる項目はないか深掘りしていきましょう。
また最小限にとどめたい費用として挙げられる「人件費」は、「スマート農業」の導入で解決できるかもしれません。人がやっていた作業を機械に置き換えることで「人件費」削減につながります。もちろんコストパフォーマンスの高い機械を導入する必要はありますが(導入しても作業が進まない、メンテナンスばかりで使えないなどの問題が発生しては本末転倒です)。
また農業機械などは中古品を購入することでもコスト削減が見込めます。
顧客の明確化
販売相手を明確にすることも儲かるためのポイントのひとつです。ターゲットを決めると、どのような農作物をつくるべきか定めることができます。儲かることを念頭に置いて農業を始めるのであれば、まずはじめに考えるべき項目です。
販路の確保
販路を確保する方法は、自分のやりたい農業形態によって考えると良いでしょう。
というのも、自ら販路を開拓し、自ら販売する選択をした場合、農作物の袋詰めや配送に必要な労働時間を確保する必要があったり、委託販売することによって生じるロスのリスクなどを抱える必要があるからです。
自ら販売する方法は、自身の商品にこだわりがあり、ブランド化することに力を注ぐ人にとっては有益な方法だと思います。しかし規模の拡大や労働時間の省力化を望む場合には、JAや市場などに販売する方法を選択することもおすすめです。販売価格を自分で決められないデメリットはあるものの、販売に労力をかける必要はありません。