レダンアイランド

レダンアイランド


マレーシアでリゾートアイランドと言えばペナン島が有名だが俗化されホテル代も高い。そこで、我々、呑兵衛チームは南シナ海に浮かぶレダン島に向かった。レダン島はトレンガヌ州のクアラ・トレンガヌから45km沖合いに浮かぶサンゴ礁が非常に美しい島だ。9月10日の朝8時、タクシーでホテルから国内線のスルタン・マァムド空港に行き、国内線でクアラ・トレンガヌにあるスルタン・アブドゥル・アジズ・シャー空港に向かった。飛行時間約1時間のフライトだ。

スルタン・アブドゥル・アジズ・シャー空港に12:25に着き、到着口を出るとタクシーカウンターがあったので、Merang Jettの船着き場までのタクシーチケットを購入した。60リンギだった。Merang Jetty高速艇乗り場につき、カウンターで予約してあった15時発の高速艇チケットをゲットしたが、カウンターの女の子は14時過ぎに出発するから遠くへ行くなとの話???そうこうしているうちに25名くらいの現地の人たちが船着き場に集まってきた。この団体用にチャータ便がでるらしい。しばらくするヤマハの船外機をつけた2隻の船が横付けになり、この1隻に団体客と相乗りし出発となった。
我々の船が先行し河口から出発した。細い水路に沿って外洋に向かったのだが、外洋にでる前に、我々の後ろのもう一隻が座礁してしまった。我々の船が救助に向かい、何とか救出し、南シナ海に出ることができた。
2台の船外機をフル回転させレダン島に向かった。運転台の横にある速度メーターを見ると40ノット、約70kmのスピードだ。船は波をカキワケ走る。船首が上がるとその反動で船底を海面に叩きつける。乗客は振り落とされないように手すりをしっかり掴かんでいる。高速艇はこの動作を30分近く続けながら南シナ海を進んだ。ようやく、前方に島影が見えた。レダン島だった。団体客に続いて島に上陸しホテルに連絡して迎えに来てもらった。

島での滞在は海を見下ろせる丘にコテージが点在しているきれいなリゾートホテルだ。チェックインしてキーをもらい2階だてのコテージに入った。このコテージには1階に2室、2階に2室あり、今回は、各自1室のシングル仕様だ。暫く休憩後、さっそくプールへ向かった。小1時間ほど泳ぎ、プールサイドのビーチソファーでまったりと過ごした。翌日の15時に隣の島のビーチへ行く船の予約をした。
翌日は朝、早起きして小説『品格を失くした日本人たちー東日本大震災2011年―』を執筆、8時にホテルのレストランに集合し朝食をとり11時ごろにプールへ、ランチ後、予約したボートで隣の島のビーチへ向かった。遠浅の静かなビーチだった。ひと泳ぎした後シュノーケリングをしながら下を見るとカラフルな魚の群れに遭遇した。ユックリと泳ぎながら魚たちを見ていると、ゴーグルの下の海底を大き目な魚はゆったりと泳ぎ、小魚は群れを作りシューと通過していく。俗世は海水とともに流れ耳の奥にスーハーと言う呼吸音がユックリと規則的に流れていった。200mくらいのビーチには我々だけになり、まるで、プライベートビーチの様だった。


翌日は1日ホテルでゆっくりと過ごした。午前中は、作家らしく小説を執筆し、11時からプールでひと泳ぎ、まさにリゾート生活だ。昼ご飯は仲間たちと丘の上のホテルを降り、地元の食堂で塩味の海鮮スープ麺、旨かった。昼寝して夕方プールへ、若い友人たちは、ホテルでバイクをレンタルし島内の小さな村やビーチの探検に行った。
夕食はランチを食べた隣のレストランに行った。酒はビールも含め販売していないので、500mℓのペットボトルに水とウィスキーをいれた薄めの水割りを各自持参した。料理はメインは「シーバス」と書かれていた魚(おそらくスズキだろう)のから揚げあんかけソースと野菜炒め、イカとキクラゲ炒めに白米を注文した。この白米に、魚のから揚げと野菜炒め、イカとキクラゲ炒めなどをかけて食べるのだが、味が優しく、とても美味かった。マレーシアの味付けは日本人にあっていると感じた。

翌日は、午前中はプールで泳ぎ、午後からスクーターに2人乗りして、昨日、若者が見つけた浜辺へ、この浜辺は地元の人々向けのビーチらしい。ビーチに向かう途中の村でランチを食べた、注文のシステムが良くは分からなかったが、奥のテーブルに置いてあるプラスチックの皿にライスをもり、鶏肉と野菜の炒め物をかけて食べた。周りで食べている地元の人をみるとお代わりは自由のようだ。食べ終わったが、勘定の払い方が分からない。まさか食い逃げするわけにもいかないから、奥に座っている定員らしき女性の所に行き、いくら払うのかと聞いてみると、15リンギだというので、各自15リンギ支払った。問題はなかった。
ビーチに着くと人はまばらでサンゴのためか砂が白い感じがした。さっそく、シュノーケリング開始、こちらも、海底には魚がゆったりと泳いでいた。

2時間ほど魚と遊び、椰子のジュースを飲みながらビーチチェアでゆっくりと過ごした。17時頃ホテルに戻りプールへ行き、プールサイドのビーチソファーに横になり、日が暮れつつある風景の中に自分を置き、この時間と空間の贅沢を思う存分味わった。夜は昨日のレストランで夕食をとったが、4人とも泳ぎ疲れたせいか、お酒の量は進まなかった。

翌朝チェックアウトした後、ホテルのバスでフェリー乗り場まで送って貰った。9時発の高速船がなかなか来ない。船が着くたびに、「Merang Jett」、「Merang Jett」と行先の港の名前を言いながら待っていると、9時30分ころに一隻の高速船が来た。よく見ると、何日か前にこの島に来た船と同じようだ。船長も前回の船と同じだ。乗客は我々4名だけの貸し切りだった。高速艇は40ノットで飛ばしに飛ばして、一目散にMerang Jett港へ向かった。港に着くと予約していたタクシーが迎えにきていたので、このタクシーに乗りスルタン・アブドゥル・アジズ・シャー空港へ向かった

 

 

【プロフィール】
稲田宗一郎(いなだ そういちろう)
千葉県生まれ。小説『夕焼け雲』が2015年内田康夫ミステリー大賞、および、小説『したたかな奴』が第15回湯河原文学賞に入選し、小説家としての活動を始める。2016年ルーラル小説『撤退田圃』、2017年ポリティカル小説『したたかな奴』を月刊誌へ連載。小説『錯覚の権力者たちー狙われた農協』、『浮島のオアシス』、『A Stairway to a Dream』、『やさしさの行方』、『防人の詩』他多数発表。2020年から「林に棲む」のエッセイを稲田宗一郎公式HP(http://www.inadasoichiro.com/)で開始する。

 

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