2019/12/09 | レポート |
【和歌山県】きゅうり栽培でのウルトラファインバブル導入事例
D様の農場で栽培しているのは「アドミラル」という品種のきゅうり。果実肥大がスムーズで収量は安定、秀品率が高く、褐斑病・ウドンコ病などの病気に強い丈夫な品種。薬剤散布が軽減でき、栽培後半期まで安定した栽培が行えるのが特徴です。D様は800株のアドミラルをハウス栽培しています。
2019年8月の潅水からウルトラファインバブルの導入を開始しました。D様には下記のような点に期待を寄せていただいています。
・病気に掛かりにくくしたい
・収穫量を一定化および秀品率を同一化
・気候や環境に左右されず、毎年一定数の収穫量を目指したい
定植後、早くも株に良好な変化あり
2019年8月11日に定植を行い、8月18日までウルトラファインバブルによる潅水を行いました。毎朝10分~20分を1回(土の乾き具合によって昼にも10分)、液肥は一週間に20リットル×2回実施。活着を確認できたため、8月19日から26日までは潅水を停止しています。
ウルトラファインバブルを導入したことにより、例年と比べて下記のような変化が見られました。
・葉焼けの減少
→例年は潅水を止めている間にハウスの湿度が下がり、きゅうりから水分が蒸発して葉焼けが起きて枯れてしまう株もありましたが、今作は葉焼けを起こした株は1株のみ。枯れた株はゼロでした。
・活着時の手潅水が不要に
→例年は潅水チューブからの潅水だけではなく根元の手潅水を行っていましたが、ウルトラファインバブルを導入した今作では生育が良いため、手潅水が不要と判断しました。
※現時点で今作すべての収穫が完了していないため収量の結果は後日報告。
葉焼けが減った理由として、ウルトラファインバブルの細かい粒子できゅうりの水分吸収を良かったこと、葉の細部まで水を行き渡らせていたため乾燥を抑えられたことなどが挙げられます。また、2018年と比較して潅水停止期間の気温・日照時間ともに低かったこともある程度影響していると考えられます。
活着時に手潅水が不要となった理由については、葉焼けが少なかった理由と同様に水分吸収が良かった点や、マイナスに帯電している酸素ウルトラファインバブルが根の成長を助けたと考えられます。
樹勢維持、潅水量・追肥量の調整が課題
D様の農場ではウルトラファインバブルを使用していない慣行区でもきゅうりの栽培を行っています。慣行区の方が4日ほど先に定植を開始しましたが、花が着いている割合はウルトラファインバブル区の方が多いことを確認しています(ウルトラファインバブル区:およそ3株に1つ、慣行区:およそ5株に1つ)。ウルトラファインバブルはきゅうりの成長を促進させるブースターの役割を果たしているといえるでしょう。
潅水や肥料の吸収率が上がるのは好ましいことですが、著しく成長して葉が大きくなると病気にかかりやすくなり、また追肥が例年より多く必要になる可能性があるなど、今後の生育を懸念する点も見つかりました。
収穫に向けて、潅水量や追肥の量を調整しながら病気に罹らないよう樹勢を維持し、収量・秀品率アップにつなげてまいります。