2019/11/19 | レポート |
【千葉県】サラダ菜栽培でのウルトラファインバブル導入事例
S農地は、一つの栽培敷地を同市内の農家様7名が分け合い、それぞれサラダ菜、トマト、レタスなどを栽培しています。合計面積300アールという広大な敷地で、原水には井戸水を使用。特にサラダ菜の栽培には、S農地を利用しているすべての農家様がウルトラファインバブルを導入しています。
その一人であるI様に、ウルトラファインバブル導入後のサラダ菜の生育状況について伺いました。Sでは、培養液を浅い水深で流し続けるNFT方式という水耕栽培をいずれの農家様も共通して採用しており、通年で安定的な生産を実現しています。
ウルトラファインバブル導入により期待する効果について、I様は下記の点を挙げています。
・すそ枯病対策
→土に接する部分の外葉の葉柄に病斑ができる病害。サラダ菜は暑さに弱、高温で湿度の高い7月~9月にかけて病気にかかりやすくなるため、酸欠防止などの対策が必要。
・ロス率の軽減
→最大で収量の50%に達することもあるロスをいかに下げられるか。
ロス率軽減・作業日数短縮に成功
I様の農地で育てているサラダ菜について、今作の生育状況・収穫の結果は下記の通りです。
・ロス率:最大50%→5%に減少
→ウルトラファインバブルの効果で水温上昇による酸欠を防止できたと考えられる。
・定植から出荷まで約3日間短縮
→根からの肥料吸収率が上がった可能性。
・消毒回数の軽減(週1回→3週に1回)
→植物が健体化し、虫が近寄らない忌避効果が表れた可能性。
ウルトラファインバブル導入前と比較し、サラダ菜の成長速度アップ・健体化が見られました。土壌の数値を調べたところ、EC(塩類濃度)値はウルトラファインバブル導入前3.6→導入後3.4、pH値は導入前6.42→導入後6.2と変化しており、土中の栄養を効率的に根が吸収していることがわかります。
I様の農地では、前作では生産高が通常の7,000ケースから12,800ケースに増加し、約300万円の増収につながりました。今作でも現在のペースで収穫を継続できれば、例年以上の収量が期待できるといいます。
一方、同じS農地で栽培したサラダ菜でも、I様と同様の結果が出なかったという農家様からの報告もあります。今後は他の6名分の水温、気温、CO2濃度、pH値、EC値、DO(溶存酵素)値、肥培管理、原水(井戸水)などの条件を比較し、効果の有無の差が出る原因を調査する予定です。いずれの農家様でも良い結果が得られるよう、ウルトラファインバブルのより効果的な利用法を検証、ご提案してまいります。