2019/11/13 レポート

【埼玉県】イチゴ観光農園でのウルトラファインバブル導入事例

投稿者:カクイチ

今回は、埼玉県和光市でイチゴの観光農園を運営されているT様のウルトラファインバブル導入事例です。

平成24年に開園した同園は、毎年12月から5月下旬にかけて営業。立ったまま収穫でき、ベビーカーや車いす利用も可能な高設栽培が特徴です。

栽培している品種は「章姫(あきひめ)」、「紅ほっぺ」、平成28年に埼玉県の第一号品種として誕生した「かおりん」「あまりん」の4種。これらのイチゴを、水に溶かした培養液で作物を育てる「養液栽培」で育てています。養液栽培は、土壌病害や連作障害を回避できる、土耕に必要な畝立や除草などの作業が省略できるといったメリットがある栽培方法。同園では、ココピートs+赤玉土を使った培地に作物を定植する固形培地耕を採用しています。

品質向上、収量増加 ウルトラファインバブルへの期待

2018年の春にウルトラファインバブルを初導入。同農園では下記の点を目標として設定し、ウルトラファインバブルを取り入れた栽培を開始しました。

・作後半の樹勢維持・収量増加
・現状の収量(8トン)を落とさずに品質向上
・食味の向上(百貨店レベルを目標)
・根の健体化およびカルシウム系の要素を取り込むことによる病害の減少

ウルトラファインバブルを導入した2018年春からの埼玉県の気象状況について、春~初夏にかけては気温の高い日が続いた一方、育苗が始まる6月前後は空梅雨に。6月後半から9月にかけては記録的猛暑となり、イチゴの収穫期が迫る翌年1月~2月は降雨が少なく乾燥気味、という一年でした。特に夏の猛暑では、イチゴ農家に限らず多くの農業が過酷な状況での品質管理を強いられています。

ウルトラファインバブル導入による期待値通りの効果は得られたのか、栽培の経過と共に報告します。

育苗から観光農園での収穫まで

・2018年6月下旬~9月25日:育苗
ウルトラファインバブル未使用。猛暑のため潅水を増やしたが、例年とほぼ変化なし。

・9月25日~11月上旬:定植~株養成期
定植直後からウルトラファインバブル使用。10月中旬頃には「根の生育が例年より良好」という所感。

・11月中旬~:第一果房開花・受粉

・12月下旬~:観光農園営業開始

・2019年2月中旬~:第二果房開花
定植から続けてウルトラファインバブルを使用。章姫の食味が水っぽいと感じる。

・4月上旬~:第三果房開花
紅ほっぺ、かおりん、あまりんは例年通りの出来栄え。章姫は変わらず水っぽい食味。

・4月28日:観光農園営業終了
暖房設備にトラブルがあり、ゴールデンウィーク前に終了。後半の収量に関しては確認できず。

苗の生育は良好

今回ウルトラファインバブルを導入したことによって、下記2点の向上が確認できました。

・例年と比較して定植段階での根張りが良好
・例年と比較してうどん粉病の発症が減少

今回は暖房機トラブルのため、収穫期後半の5~6月の収量の確認には至りませんでしたが、樹勢は良好でした。鳥飼様からは「例年通り収穫できていれば収量がアップしていたはず」という評価を得ています。

課題点として、章姫に若干の食味劣化が見られました。原因については調査中ですが、定植時が日光不足だったこと、根張りが良くなったことで吸水力が上がり、結果的に水っぽい食味になった可能性があります。今後土壌分析や日照時間の検証を行い、数値化できない部分も明確にしながら食味の改善を目指します。

今後の収量アップへの期待高まる

ウルトラファインバブル導入2年目となる同農園では、現在ウルトラファインバブルを発根剤として使用するほか、第一花房開花から第二花房への回復にも使用しています。また、連続出蕾の谷間を減らし、観光農園の閉園日時を減らしながら樹体の余力を多くするといった対策も実施。栄養成長が必要な期間に特化してウルトラファインバブルを使用することで樹勢を保ち、生殖成長時には使用を控えることで後半の樹勢を維持。収量増加をねらっています。

また、今後は根張りの良さと収量向上・病害減少の相関関係の分析も進め、課題の改善と品質向上に努めます。来年の収穫実績にご期待ください。