土地、病害虫、資金、人手不足、台風被害…尽きない農家の悩み。どこに相談すればよいか、解決策はあるのか、他の農家はどうやって困難を乗り越えているのでしょうか。今回は悩みの多い病害虫対策、農地確保、災害被害の支援策についてまとめてみました。
■病害虫対策は予防・早期対処が基本
農業のなかでも一番農家を悩ませるのが病害虫防疫ではないでしょうか。対処が遅れ被害が大きくなることがあるので、病害虫防除は適期の対策が必要です。タイミングを逃さぬように情報を集め準備しておきましょう。
地域の特産品などは隣接する畑で同じ作物を栽培している場合があり、防除のタイミングがずれると自分の畑で病害虫を増やしてしまい、他の農家へ迷惑をかけることもあります。周辺農家の動向を知っておくことも予防策の一つでしょう。地域の動向を知るには、周辺の農家に聞くか、もしくは地域のJAによる配布資料に主要作物の使用農や散布回数と時期が載っていますので参考になります。
農林水産省でH28年に始まった「農業競争力強化プログラム」で、病害虫防除が適切に実施されるよう病害虫の発生動向情報がHPにて公表されるようになりました。都道府県等の関係機関と連携して、病害虫の発生予測、雑草管理方法などが指導されるようになっています。また地域の防疫センターで情報を得られる場合もあります。京都府病害虫防除所では、農作物病害虫の発生状況の調査や、次月の病害虫発生予報をしています。
有料の情報提供サービスJPP-NETでは、農作物の病害虫防除に関する情報を総合的に提供しています。所管の行政窓口・地域の農家仲間、インターネットなど広く情報を集めることで、解決の糸口が見つかることもあります。あらゆるところにアンテナを張っておきたいものです。
一般社団法人 日本植物防疫協会(JPP-NET)
※リンク集に地域の防疫機関の掲載あり(リンク集無料)
■農地を借りたい、どこへ相談する?
農地確保、資金調達、経理実務、雇用などたくさんの課題がある農業経営。その中でも農地確保は収益、作業効率に大きな影響を与える要因ですが、急いで探してまわっても労力の割に有益な情報を得られないこともしばしばです。
農地情報(空き農地、賃借可能農地)は地域の農業委員会が把握することになっていますが、誰でも情報を受け取れるような仕組みになっておらず、また空いている農地があっても、そこが栽培適地かどうかまではわかりません。土地に関しては、まずは公的機関へ借りたいという要望を出しておくことで、貸す側の情報を入手できるようになります。
H26年に農地の貸し借りについて橋渡しの役割をする機関として農地中間管理機構(農地バンク)が全都道府県に設置されました。リタイアするので農地を貸したい、 利用権を交換して分散した農地をまとめたい、新規就農するので農地を借りたいなどの要望に応える機関です。
高齢化によって農業人口が減少し、新規参入の受け入れが進んでいるとはいえ、農地は水利権や獣害対策といった周辺の農家と協力しなければならないことがあります。地域に全く縁のない人の場合、どこまで協力してくれるのか貸す側にも判断がつかないため、実際にはなかなか貸してもらえません。長期的な視野で公的機関を利用しつつも、農地を守ってきた地元の人と信頼関係を築いていくことも大切なことでしょう。
■被災したらどうする?支援を受ける方法とは
地震や台風、豪雨などの自然災害で畑や農業機械が被災した時、公的支援策があるのをご存知ですか。大きな被害を受けても手続きをしないと全く支援を受けられないこともあります。まず、支援を受けるためには被害の程度を市町村 が証明する「罹災(りさい)証明書」(災害対策基本法第90条の2)を発行してもらいます。罹災証明書は支援策の判断材料となるので、支援を受ける場合は必ず必要になります。
市町村へ罹災証明書の申請をすると調査員が現場調査を行い被害の程度を認定します。豪雨などの場合、水が引いてしまうと被害状況が分からなくなることもありますので、被災したらすぐに写真を撮るなどして、被害状況を記録しておきましょう。
罹災証明書は認定に時間がかかり、申請後すぐには発行されませんが、代わりに罹災届出証明書が即日発行されます。罹災届出証明書は罹災証明書の代わりにもなりますので、すぐに公的支援の手続きを始めることができます。
公的支援は社会保険料の減額、お見舞金、修理費用の一部補助、災害救護支援金の貸付といった地方自治体の支援に加えて、災害救助法が適用されるような大規模災害になると事業復旧のための貸付も受けられます。万が一に備えて支援制度について自治体ホームページで確認してみましょう。
■まとめ
農業は地域、作物、栽培方法、規模などの要因が複雑なため、失敗から学ぶ姿勢と様々な角度から物事を見られる力をつけることで、自分が納得する解決策を見つけられるのかも知れません。地域の人との交流や行政支援も活用しながら対処する力をつけていきたいものです。
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